【法律コラム】土下座強要、お茶を投げる、店員拘束… 一体どんな罪になる?

2014/09/17 12:00

dogeza

弁護士の佐藤大和です。最近、朝晩と冷えてきましたね。もう布団一枚では足りなくなってきました。

今回のテーマは、「土下座強要」事件。

先日、大阪府内のコンビニで、男性客らがお店の関係者らを土下座させ、たばこを恐喝したとされ逮捕されました。この件については、連日テレビ等で特集をしています。筆者も問題となっている動画を見ましたが、言葉を失うくらい酷い内容でしたね。

そして、このコラムの執筆前日、電車内で酔っ払っている男性が他の乗客に対していちゃもんをつけ「表にでるか?」と怒鳴っていました。もう、本当に情けない限りです…。

筆者の経験上、こういう人間に限って、逮捕後に接見に行くと反省モードに入っていて、びっくりするくらいシュンとしています。

さて、「土下座強要」をした場合、どのような犯罪になるのでしょうか? そして、今回の事件の真相はわかりませんが、お店のなかでしたとされる行為を実際に行っていた場合にはどのような犯罪になるのでしょうか?


 

■土下座を強要したら強要罪!?

今回は、恐喝してたばこを得ているため、恐喝罪の容疑で逮捕されましたが、土下座の強要だけをした場合、どのような犯罪になるのでしょうか?

法律上、暴行または脅迫をして、人に義務がないことをさせた場合、「強要罪」という犯罪が成立してしまいます。

そのため、暴行または脅迫をして無理やり土下座させた場合には、強要罪が成立する可能性は高いといえます。そういえば昨年、大ヒットしたドラマにも土下座をさせるシーンがありましたね。実際には、強要させてはダメということです。

関連記事:【法律コラム】福岡で高1生徒が逮捕… 替え玉受験はどんな犯罪になる?

 

■お茶を投げたら暴行罪!?

店員にお茶のペットボトルを投げつけ、身体に当たらなかった場合にも「暴行罪」は成立するのでしょうか?

実は、暴行罪の成立には、必ずしも身体に接触する必要はないとされています。判例でも、日本刀を振りかざすだけも暴行罪が成立するとされています。つまり、身体に対して攻撃され、たとえ当たらなくても、ヒヤっとすれば暴行罪が成立する可能性があるのです。そのため、店員にお茶のペットボトルを投げつけてたとえ身体にぶつからなくても、暴行罪は成立する可能性はあります。

関連記事:【法律コラム】沢尻ドラマ『ファースト・クラス』に登場する嫌がらせは犯罪?

 

■コンビニから出ていかない場合には不退去罪!?

店内で騒いでおり、他のお客に迷惑がかかるためお店の外に出ていくように伝えても店外に出ていかない場合には、どのような犯罪が成立するのでしょうか?

法律上、退去するよう要求したにもかかわらず建物等から退去しない場合には、不退去罪という犯罪が成立する可能性があります。そのため、店員がコンビニから出ていくように要求しているにもかかわらず退去しない場合には、不退去罪が成立しえます。

関連記事:【法律コラム】翻訳もダメなの?バイラルメディアの“丸パクり問題”と著作権

 

■お店の物を壊したら器物損壊罪!?

お店の商品を壊した場合には、何罪が成立するのでしょうか?

法律上、他人の物を壊した場合、器物損壊罪が成立します。

これは、皆さんも直感的にすぐにわかったのでないでしょうか。ちなみに、たとえば、お店の商品をわざと汚して売り物にできなくさせた場合でもあっても、物の効用を害したとして器物損壊罪となりえます。

関連記事:【法律コラム】ドラマで注目される「不倫」 その大きな原因は?慰謝料相場は?

■お店で暴れたら業務妨害罪!?

お店のなかで暴れたり大声を出したりして業務を妨害する場合には、どのような犯罪が成立するのでしょうか?

法律上、お店の業務を妨害するような場合には業務妨害罪という犯罪になります。

たとえば、よくドラマや漫画でありますが、食事のなかにゴキブリが入っていたと嘘をついてお店に文句をつける行為も、業務妨害罪といえますね。

■店員を拘束したら捕監禁罪!?

お店から店員を外に出さないように拘束した場合には、どのような犯罪が成立するのでしょうか?

法律上、不法に人を逮捕もしくは監禁した場合には、逮捕・監禁罪が成立します。

たとえ、お店の外に逃げることができる状況で店員を脅迫し、後で大変な目に遭わせると思わせてその場から逃げなくさせた場合であっても、監禁罪が成立する可能性があります。

最近、店員に対する暴力や駅員に対する暴力等が増えていますが、どのような理由があっても人に迷惑をかける行為をしてはいけませんね。場合によっては犯罪が成立し、今回の件のように逮捕されてしまうこともあるのです。

(文/弁護士・佐藤大和


Amazonタイムセール&キャンペーンをチェック!

佐藤大和弁護士法律コラム
シェア ツイート 送る アプリで読む


人気記事ランキング