ピンク系で働くお姉さんがご奉仕中に言われると「ムカつく」意外な言葉TOP5【コラム】

2014/09/29 07:00


1

【第一話】
ここはある商店街に立つ、スナック「いるか」。ここでは、集まってきた人の困り事を、言葉だけで解決するイルカがいる。今日はそんな噂を聞きつけて、イルカのもとに1通の手紙が来た。

2

ももこ
「あ、あたしここの店長、ももこ。本当は桃男だけど、いろいろあって、ももこって名前にしてるの。よろしくね!」

イルカ
「誰に言ってんだ?」

ももこ
「え? まだ本を読んでない人だけど…」

イルカ
「…まあいい、それで、手紙が来たんだろ?」

ももこ
「これよ。広告会社勤務・高橋勇気(24歳)ですって。なになに…『僕、勇気っていう名前ですが、ゆうきがないんです。先輩がピンク系のお店に行こう!って誘うんですけど、どうしても行けないんです。お姉さんに怒られるのが怖いんです。狭い部屋で険悪になったらどうしようって思うんです。どうすればいいでしょうか?』だって」

イルカ
「じゃあ、行かなきゃいいじゃねえか」

ももこ
「そうもいかないでしょ、若い男の子なんだから…うふっ」

イルカ
「何度聞いてもその声は怖いな…。まあいい。確かに、ああいう狭い空間で気まずくなったら怖いからな。でも、そういう時は…!」

ももこ
「そういう時は?」

3

イルカ
「伝わるメソッド『なりきり』!」

ももこ
「ああ、友達のクリスがうまくいったメソッドね。(『伝わっているか?第七章参照』)」

イルカ
「そうだ。相手のために…じゃなく、相手の立場に立って考えるメソッドだ。『なりきり』で考えれば、怒らせるような言葉を言わなくてすむ」

ももこ
「じゃあ、そのピンク系のお店のお姉さんに、どうなりきればいいか教えてよ。あんただって、知らないんじゃないの?」

イルカ
「まあ、イルカだからな。ははは。キューキュー。でも知らなければ、聞けばいい。みんな知らないことを、誰にも聞かずにそのまま済ませるからダメなんだ…。というわけで、その道のプロをお呼びしました。博多のピンク街で働くマンボウさん(仮名)どうぞ。熊本出身。丁寧な接客で有名なんだって」

マンボウ
「どうも、はじめましてー」

ももこ
「あんた、この人なんで知ってるの?」

イルカ
「まあ、昨日、飲み屋で隣になったんだ。いい人だぜ、塩水おごってくれたし」

ももこ
「ふうん。じゃあマンボウさん、よろしく」

マンボウ
「よろしくですー」

ももこ
「お手紙が来てまして…。ピンク系のお仕事中に、何を言われるとむかつくかを話してもらえますか?」

マンボウ
「はーい。一緒に働いてる女のコにも質問したんで、順に話していきますねー」

イルカ
「はい。お願いします」

マンボウ
「私たちが仕事中にムカっとする言葉、5位はー!」

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5位「なんでこういう仕事してるの?」

イルカ
「出た。定番の言葉。これはダメだろ。キューキュー」
ももこ
「そりゃいろいろ事情があるわよねー」
イルカ
「お客さんも何話していいかわからないから、思わず聞いちゃいそうだな」
マンボウ
「それはわかるんだけどー。でも、嘘つくのもヤだし、でも、本当のこという仲でもないしねー」

ももこ
「なるほどね。じゃあ、次いきましょうか・・・。4位は?」

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4位「ケータイ番号教えてくれない?」

イルカ
「これもご法度だな。ストレートすぎる。ははは。キューキュー」
ももこ
「疑似恋愛って感じなのよね。気持ちはわかるけど、いきなりのお客さんに教えるのは無理でしょ。ま、営業用の番号持ってるコもいるけどね」
マンボウ
「私も持ってるんですけど、名刺に書いたりすると『営業の電話じゃなくて、プライベートなのを教えてよ!』って言われることもあって。ちょっとビビっちゃいますー」

イルカ
「どうでもいいけど、その『すー』とかってなんとかならないか?イライラするんだけど」
マンボウ
「イルカってイライラするんですねー。こんなにかわいい顔なのにー」
ももこ
「あんたが連れてきたんだから、我慢するしかないわね」

イルカ
「仕方ないな… じゃあ、3位は?」

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3位「1日で、どのくらい稼いでるの?」

イルカ
「なるほど。これは正直、興味はあるな。でもまあ初対面の人に聞くことじゃないだろ」
ももこ
「そうね。普通、初対面のサラリーマンに『いくら稼いでます?』なんて話はしないもんね」
マンボウ
「それ聞いてどうするのって思いますー。他人に収入とか話すの怖いんですよねー。あとたまに『今日もいっぱい稼いだんだし、おごってよー』とか言う人もいます。あれは、どうなんでしょー?」

イルカ
「それはたちが悪いな。そんなヤツがいっぱい来るのか…大変な仕事だな、あんたも…。じゃあ、2位は?」

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2位「熊本のどこ?何高?何町?」

イルカ
「どういう意味だ、これ?」
マンボウ
「アタシ、出身は熊本なんですねー。で、出身は熊本ですって言うと、『あ、俺、熊本に友達いるんだよ。熊本のどのあたり?何高校?何町?』って言われたりするんですけどー。もしその人が友達とつながってたり、親戚のこと知ってたりすると怖いしー。そこまで出身地を厳密に聞かれると、過去のこととかも知られると困るとかー。いろいろ考えちゃって、冷めちゃうんですー」
ももこ
「ああ、そういうことか…」
イルカ
「まあ、話が盛り上がるネタを手に入れたから、お客さんも必死なんだな」
マンボウ
「周りの女の子も、それ、怖いって言ってますー」
ももこ
「きっと、お客さんは女のコの気持ちを盛り上げようとしてるんだけどね…。でも、言ってることはわかるわ。この2位は意外ね」
イルカ
「これが『なりきり』の大切なところだな。相手のことをわかった気になっても、本当に相手の立場になってないことは多い。想像できない人のことは、会って話したり、リアルなインタビューとか言葉を探したりして、必死でその人になりきるのが大切なんだ。じゃないと、本当の気持ちは伝わらない」
マンボウ
「イルカさんって、イルカなのに真面目なんですねー。ショーとかじゃ、飛んだり跳ねたりして、芸人さんみたいなのにー」
イルカ
「それは間違ったイメージだ。イルカショーに抗議しよう」

ももこ
「例えば『この後、2人で飲みにいこうよ』とかは、ダメじゃないの?」
マンボウ
「それもダメですけどー。「お店で禁止されてるんですー」て言えば、だいたい大丈夫だから、言われても平気なんですー。お店の人、だいたい怖そうだしー」
イルカ
「ピンク系のお店の人って、優しい口調だけど、怖そうだからな」
ももこ
「…なんであんた、ピンク系に詳しいのよ?」
イルカ
「まあ、いろいろな。ははは。キューキュー。あ、例えば『ここで働いてるの、親は知ってるの?』とかって古典的な話は嫌じゃないの?」

マンボウ
「それは、あんまり嫌じゃないですねー。わりとみんな親とか友達には仕事のこと話してたりするし。答えても、別に自分に嫌なことがある訳じゃないからー。あ、もちろん、嫌がるコもいますけどね」
ももこ
「ふうん。みんな親に話してるんだ。時代は変わったわね」
イルカ
「人それぞれだろ。だから、そういうプライベートなことは、あまり聞かない方がいいってことだと思うな。じゃあ、そろそろ、第1位を話してくれ」

マンボウ
「はい。みんな、これは嫌って言ってました。その、第1位は!」

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第1位「眠そうだけど、大丈夫?」

ももこ
「えー!」
イルカ
「俺でも、言っちゃいそうだ…」
マンボウ
「『なんかダルそうだね?』とか『疲れてる?』とかも嫌ですー」
ももこ:
「それが1位なの?なんで?」
マンボウ:
だって、これからお仕事でがんばろう!って思ってるのに、いきなり『ダルいの?』って聞かれたらヤじゃないですかー。緊張してたり、お客さんがどういう人かを考えてるだけなのに。そう言われると『そんなことないですよー』とか言って笑いながら、心で泣いてますー」

イルカ
「そうなんだ。それってみんな思ってること?」
マンボウ
「そうですね。お店のコは、みんな「それは嫌だよねー」って言ってました。他の店じゃどうなのかわかんないけど、一生懸命に仕事しようって思ってる女の子は、みんな思うんじゃないですかー」
ももこ
「ちょっと意外ね。もっと…違う言葉だと思ってたわ」
イルカ
「リアルな答えだな。でも、小さな場所で、初めての人に会うわけだから、自分のモチベーションを上げるのが大変だ。毎回毎回、テンションを上げなきゃいけないしな。そんな時に『ダルそう』とか『疲れてる?』とか言われたら、確かに、イラっとくるだろうな。なるほど、いいこと聞いた」
ももこ
「あんた…今度、どっかのお店でこのこと活かそうと思ってるわね?」
イルカ
「…ま、この話はこのあたりで…と。あ、聞くのを忘れてた。逆に言われると嬉しい言葉ってある?」
マンボウ
「そうですねー。『キレイだね』とか『かわいいね』とか『うまいね』とかですかね。普通に嬉しいでしょー?少し前に、会った瞬間から『スゲーかわいいっすね。これはまた来るな、確実に!』って言われた時は嬉しかったですー」
イルカ
「それを言ったヤツは、なかなかやるな」
ももこ
「そうね…。じゃあ、このあたりで、字数も多くなったし、今回は終わりにしましょ。えーっと、ハガキをくれた高橋さん。そういうことなんで、ここであげた言葉は使わないように。それから、相手の立場で気遣えば、いろいろ楽しめると思うわよ。なんだったら、アタシががんばってあげてもいいけどね。うふ」
イルカ
「お前、ほんとに怖いな…」

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「伝わっているか?」

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(文/コピーライター・小西利行

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