あえて「二発目」狙わない?マネージャーが語る、ダンディ坂野を売れ続けさせる戦略
圧倒的に親しみやすいギャグがブームになり、あっという間に消費され、気づくと過去の人になっている。それが、「一発屋芸人」たちの悲しい運命。
ムーディ勝山、波田陽区、長州小力など、一時の人気がウソのように露出が減り、テレビから消えてしまった芸人たちは枚挙にいとまがない。
そんな中、一発屋の代表選手のようにも思えるダンディ坂野が、意外な活躍を続けているのをご存知だろうか? 2012年には8社のテレビCMに出演。数で言えばSMAPの草なぎ剛に並び、芸人では第1位だ。
今年も三井住友海上あいおい生命やフリマアプリのメルカリなど12社前後の企業と契約しており、CMだけでも4社に出演、共演者も桐谷美玲や筧美和子など旬なタレントが多い。
代表作は「ゲッツ!」というたった1つのギャグだけなのにもかかわらず、いつまでも色褪せない。その秘密は何なのか。担当マネージャー(以下Mさん)に話を聞いてみた。
■一瞬でつかめるからCMに強い
Q.最近も新しいCMが流れてましたが、テレビで見かけることが多いですね。
Mさん:よく言われるんですが、じつはバラエティ番組にはそれほど出ていないんです。とくに「ひな壇系」のあまり活躍できない企画の場合は、オファーがあっても受けないことが多いです。レポーターや旅ものの仕事は、少し増えていますが。
テレビでダンディ坂野を目にするのは、CMが大半だと思います。でも、CMは繰り返し放送されるので、なんとなく「番組にも出てる」イメージが生まれるのかもしれませんね。
Q.なぜCM起用が多いのでしょう?
Mさん:短い15秒CMでも、真っ黄色の衣装や「ゲッツ!」は一瞬で伝わりますよね。「Get’s!」はじつは英文法的には正しくなくて、いわばダンディ坂野が“発明”した言葉。どこか前向きな印象があるので、企業さんが使いやすいのかもしれません。
また、以前テレビ番組で、歌舞伎役者の松本幸四郎さんが、金鳥さんのCMでの演技を褒めてくださったことがあります。意外かもしれませんが、ダンディ坂野の場合、ドラマなど演技の仕事も少なくありません。
しかし、本人にとってはこれからも役者としてではなく、あくまで芸人というハードルが低い状況のほうが、“らしさ”が出せるようですね。
関連記事:ロケ撮影の「遭遇率」は64.4% 写真ツイートに悩む制作現場の声も
■二発目はつくらずに「一発」にこだわる
Q.「一発屋」と思われながら、じつは売れ続けている秘訣は?
Mさん:フレーズで売れた芸人が2つ目に編み出すギャグは、ほとんどヒットしません。でも、番組サイドにも視聴者にも、それを求められるので苦悩する。
でも、ダンディの場合、「ゲッツの次」を考えようという意識はまったくありません。本人がいつも言っているのは「現状維持」。
これは、後ろ向きな意味ではなく、ゲッツを守りながら日々進化させていくということ。人気ラーメン店がこっそりと、でも着実に味を磨き続けるようなものです。
Q.メルカリのCMでは「売れてない人」と言われていますが(笑)?
Mさん:「売れてる感」を出さないようマネジメントしてるので、問題ありません(笑)お客さんが離れていってしまいますからね。これからも、「あの人は今」くらいの低めなハードルをキープしていきたいです。
永遠の一発屋、ダンディ坂野。進化を続ける「ゲッツ一本足打法」から、これからも目が離せない。
https://www.youtube.com/watch?v=o2REpietrTg
※画像はYoutubeのスクリーンショットです。
(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)