【アパレル業界人がハマる】ドラマ『ファーストクラス』のこんなところがリアル!5選

2014/10/29 08:00

firstclass_fujitv

いやあ、本当に面白い!
レディスアパレルで15年以上、企画やプレスの仕事をしてきた私が、今年一番ハマっているドラマが沢尻エリカ主演の『ファーストクラス』です。

ケレン味溢れまくりの演出と、意地悪すぎるキャラクターたちによって賛否両論が激しく分かれている本作。「あんなエグい職場ありえない!」と思われるでしょうが、実はあれ、レディスアパレル業界を忠実に再現しています。大げさに演出しているのは1割くらいで、9割はリアル。ドラマの舞台となっている「TATSUKO YANO」のような中規模デザイナーズブランド企業には、実際に似たような人間関係・状況が山ほどあります。

(1)分刻みのギリギリ進行!寝る時間も無いファッションショー&展示会前の様子がリアル

未だ手作業が多い業界ですので、基本的にいつもケツカッチン。そのわりにはてんで儲からないデザイナーズブランドと、周りからは“オワコン”と思われても不敵な笑みと自信を失わない社長デザイナー、夏木マリの演技が超リアル!こんな人いるもん。

(2)職種毎のキャラクター造形が異常にリアル

若ぶったイタいデザイナー、外面(そとづら)ばかり良いスカしたプレス、頑固オヤジみたいに職人気質なパタンナー・・・こういう人、本当によくいるんですよ。で、表面上は必要以上に仲良しぶっているけど裏ではドロッドロの人間関係。私服勤務だけど、常にファッションチェックされちゃうところもリアル~。

(3)数少ない男性社員の弱い立場がリアル

やっぱり女性メインな世界なので、そこで働く男子はおのずと物腰柔らか~な草食系が生き残る生態系に。オラオラ系男子は駆逐されます。

(4)ファストファッションに苦戦してるとこがリアル

「デザインから2週間で店頭に商品が並ぶ時代に、1年後の服をデザインしてるのが当たり前だと思ってる。なぜなら、今までずっとそうしてきたから」という木村佳乃のセリフ、リアルに自分が怒られてるみたいで耳が痛いです。

(5)国内縫製工場の衰退と高齢化がリアル

ドラマ内であった「金よりも人と情で仕事を受ける」という描写は実はとてもリアル。工場さんにはそういう気質を持ったところが多いのです。ちなみに舞台になっていた桐生とは、日本を代表する織物と縫製工場の街。他にも「シフォンの毛抜き合わせが縫えるなんてあの工場くらいだよ」というマニアックなセリフもあったりして、もはやリアル過ぎて視聴者ついていけないんじゃ?という心配も。

これらのリアルさの源は、前作に続いてファッション監修をされた軍地彩弓さんによるところが大きいでしょう。アラサー女性のオシャレを一気に二段階引き上げた伝説のファッション誌『GLAMOROUS』を立ち上げた、その筋ではとても有名なお方です。

いずれにせよ、かなり業界研究をして作られた作品です。あまりにリアルな「アパレルに絶対いるキャラクター」像に、観ていてニヤニヤしてしまいます。

というわけで、今後の展開から目が離せない『ファーストクラス』。変わりダネのイロモノドラマに見られがちですが、意外にも沢尻エリカをはじめとする俳優陣のネームバリューに頼ることなく、骨太に現代アパレルの問題点を描き出そうとしている意欲作なんです。

ただ、あまりにリアルで濃厚なため、見たあとは疲労感があります。仕事の現場をリアルに描いていますからね、私にとっては実際に働いた後のような疲労感ですよ。
リラックスしたり頭空っぽにして楽しめる作品ではないので万人にオススメはできませんが、間違いなく今年一番の“快作”です。

※画像は、ウェブページ「ファーストクラス – フジテレビ」のスクリーンショットです

(文/久保田フランソワ

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