「僕は友達が少ない」「僕らの音楽」「ぼくらの政策」一人称に「ぼく」はなぜ増えた?

2014/11/14 15:00

しらべぇ1114僕ら

人気漫画『僕は友だちが少ない』、フジテレビの人気番組『僕らの音楽』(現在は終了)など、近年、一人称を「ぼく」と呼ぶコンテンツや広告コピーをよく見かけないだろうか。J-POPの歌詞を見ても、AKB48の歌詞の大半は一人称が「ぼく」であり、また2000年代前半に若者から絶大な支持を集めた浜崎あゆみさんの歌詞も一人称は「ぼく」である。

女性が主人公の歌詞で一人称が「ぼく」であることも少なくなく、歌の作り手は意識的に一人称を「ぼく」に設定していることが伺える。ほかにも、2014年東京都知事選に出馬した家入一真氏が有権者から広く政策を募ったときも、それらは「ぼくらの政策」という名でまとめあげられることもあった。

どうやら、ここ近年はかつてよりも「われわれ」や「私たち」に対して「ぼく」「ぼくら」を使う頻度が上がっているのではないだろうか。では、こうした状況に社会はどのような印象を持っているのだろうか。そんな疑問から男女1500人を対象に以下のアンケートを実施してみた。

【質問】
いまの日本社会は「ぼく」「ぼくら」「ぼくたち」という一般層を指す一人称が多すぎると思いますか?

【回答】

sirabee_bokura_20141114graph
思う:31.7%
思わない:68.3%

およそ3人に1人は「ぼく」という一人称に思うところがあるようだ。両意見のコメントを集めたところ、主張は真っ二つに分かれることとなった。回答者のコメントをご覧いただきたい。

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【否定派】

・まったく同感です。「ぼく」という言い方が多すぎる。日本はいつからこんなにか弱き国になったのか。国を憂います。(60代男性)

・マッシュルームヘアで黒縁メガネをかけてそうな男子が「ぼく」って言ってるイメージ。好きじゃない。(20代女性)

・自分はか弱き存在だけど、それでもこんな「ぼく」を無条件で肯定してね、という態度が透けて見える。素人であることや失敗することを予め許容してもらおうとする態度、ズルい。(30代女性)

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【肯定派】

・10代のころ、浜崎あゆみさんの歌詞がすんなり心に入ってきたのは「ぼく」という一人称に親近感を覚えたから。自分のことを言ってくれた気がした。(20代女性)

・「オレ」と言う人は自分のことが大好きなイメージ。あくまで印象論ですが。「ぼく」のほうが謙虚。よい傾向だと思う。(30代男性)

・「われわれ」や「オレたち」という一人称は男性しか取り込んでいないイメージ。一方、「ボクら」は男女というより、「弱いもの」と「強いもの」で分けた時の「弱いもの」を指している印象を受ける。私は階級的に弱いほうなので違和感を持たない(50代女性)

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肯定派と否定派は表裏一体?

否定派は以下のように主張する。かつて「われわれ」という言い方が一般的だった一人称が、か弱き未熟な存在であることを意味する「ぼくたち」「ぼくら」という言葉に置き換わったことは、国体や国民の脆さを表象しているのではないか、と。

一方、肯定派は「われわれ」「オレたち」という一人称では自分たちがそこから疎外されているイメージを抱く。それに対し、「ぼくら」「ぼくたち」は自分たちのところに一人称が降りてきたと考えているようだ。

もし、両意見の相違が最初に自らを「強い者」に準拠させるのか、「弱い者」に準拠させるのかの違いでしかないとすれば、両意見はコインの裏表のような関係に過ぎないのかもしれない。

J-POPの歌詞や広告コピーに見られる一人称の変化は、私たちが生きる社会の変化を静かに表象しているものかもしれない。

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo
調査期間:2014年10月17日(金)~10月21日(火)
対象:全国20代~60代の男女1500名
※画像はTBS『僕は友達が少ないNEXT』ホームページのスクリーンショットです

(文/しらべぇ編集部


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