【潜入!北朝鮮②】韓国との軍事境界線「板門店」で受けた恐怖の質問
前回は平壌到着の日について書いたが、次の日は朝から板門店を観光。韓国との軍事境界線上にある地区である。通常なら平壌からは高速道路を使って車で2時間程度。
ほぼずっと真っ直ぐに続く、かなり車線が広い高速道路は、想像以上にきちんと整備されていたが、2月初旬というタイミングのため、路面はほぼすべて凍結しており危険極まりない。そのため筆者の車は4時間以上かけての徐行となった。
驚いたのは、路面の氷をスコップや鍬などで砕いている10~20人程度の集団が、移動中1kmおきくらいのペースでずっと現れ続けたこと。これがどれだけ大変なことかと言うと、片側3車線約300キロ、ほぼ全面カチコチに凍っているのである。それをすべて人力で取り除いているのだ。さすが労働の国。誰か、北朝鮮に除雪車を贈ってほしい。
板門店は軍事施設だけあって、内部を案内してくれるのは軍人だ。ただでさえ近寄りがたいイメージのある「軍人」、しかも「北朝鮮の軍人」だ。将軍様の前で一糸乱れずに行進している、あの印象しかない。何かあったら、殺されるのではないか。
ところが実際に会った彼らは思いのほか気さくで、よほど日本人が珍しかったのか(この板門店ツアーには40人程度が参加していたが、筆者以外は全員が中国人だった)、質問攻めにあった。
主には「日本人は安倍政権に対してどう思っているのか」や「日朝関係が改善するにはどうしたらいいと思うか」など。自分の思ったことを正直に答えると強制収容所送りにされてしまうかもしれないと思い、慎重に答えておいた。
また、逆に筆者からも聞き返してみた。数人の軍人とガイドのふたりに尋ねた結果、北朝鮮では軍人も民間人も、金正恩政権への信頼が絶大なものであることがわかった。しらべぇ風にいうと、「全面的に支持・信頼している:100%」(北朝鮮在住の20~40代男女5人が回答。調査期間:2014年2月)となるだろうか。
板門店では、朝鮮戦争停戦にまつわるさまざまな施設を見学することができる。
板門店の近くには、高麗時代の遺跡が世界遺産に登録された開城という人気の観光名所がある。帰りも徐行運転になってしまうため、残念ながらあまり長居することができなかったが、土産物屋に立ち寄った。
入った店は、主に切手を扱っていたが、バッジも売られていた。
ところで、北朝鮮で暮らす成人の大半が、「党員用のバッジ」をつけている。それは下の写真のようなものである(画像はAmazonで販売されているレプリカのもの。レプリカなら日本でも購入できるようだ)。金日成ソロ、金正日ソロ、金日成・正日両方など、いくつかのパターンがある。国家から支給されるものらしい。
筆者はそれをどうしても手に入れたく、「売ってくれないか」とガイドにお願いしたのだが、「これは売り物ではない」と断られてしまった。仕方がないので、この店で売られていた下の写真のバッジを購入。
次回は、これから北朝鮮への旅行を考える人に役立つアドバイスをお知らせしたいと思う。
(文/しらべぇ編集部)