ここは地獄…おぞましい彫刻の数々に思わず気が引き締まる、タイの地獄寺

2014/11/28 21:00

タイは、言わずと知れた仏教国。国民の90%以上が仏教を信仰している。現在タイには、約3万の仏教寺院があり、約40万人の僧侶がいるという。そのなかでも“珍寺”と呼ばれる「地獄寺」をご紹介しよう。

生前窃盗や不貞、動物虐待などをすると、死後にどのような運命を辿るか…地獄の恐ろしさを伝えるのを目的に建てられたという地獄寺。そのなかでも最大級と言われるのが、こちら、【ワット パイロンウア】である。バンコクの北西、スパンブリ県にある地獄寺。規模や造作物の種類が群を抜く。早速見てみよう。

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広い敷地に所狭しと並べられた、様々な地獄絵図。ハゲタカに内臓を啄ばまれたり、身体中にブツブツが施され目が飛び出していたりと、かなりのおぞましさだ。血塗られた拷問責めの像が大半を占めている。グロテスクな割に家族連れの姿が目立っていたのは、子供に仏教の考え方を教える“テーマパーク”的な寺ということだろうか? 違う意味で夢に出てきそうだ…。

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そもそも、何故このようなおどろおどろしい寺が存在するのか? タイの仏教について調べてみた。

その歴史は古く、スコータイ時代にインドから発生し、スリランカ、ビルマ、カンボジア、ラオスなど南方ルートを通って伝わった。上座部仏教(テーラワーダ仏教)といい、日本の仏教(大乗仏教)とは少し異なる。

「この世に生きることは苦しみであり、苦しみの原因になるのは執着する心。その執着を断つ最も効果的な方法は、出家して僧侶として修行することである」とされ、出家して悟りを開いた者だけが救われる、という考えを基に成り立っている。

さらに、タイ人は輪廻転生を信じており、僧侶に祈り、タンブン(善行を積み重ねる行為)をすればするほど、来世では幸せな“生まれ変わり”ができると信じられている。最大のタンブンは、僧侶として出家することだが、在家信者も様々な方法で徳を積むことができるという。

【タンブンになる行為】
・お寺に寄付をする
・僧侶に托鉢する
・出家する
・息子を出家させる
・小鳥や魚を逃がしてあげる
・五戒を守る(殺生をしない、盗まない、犯さない、嘘を付かない、酒を飲まない)

なるほど、「こうしなさい」ではなく、「さもなくば」を現す彫刻の数々というわけだ。地獄の世界を垣間見たあとは、徳を積む気になるだろう(?!)

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(文/しらべぇ海外支部・hiroko

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