なぜ日本はアメリカよりランナー人口が少ない?答えは走り続ける理由にあった!

2014/12/08 09:00

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2014年も、残すところ1ヶ月を切った。ランナーの中には、すでに来年のレース予定を組んでいる方も多いだろう。あるいは、「来年こそランニングを始めてみよう」などと考えている人もいるかもしれない。

そんな中、ランニング雑誌『ランナーズ』を発刊するアールビーズが、独自の集計データから2014年のランニングトレンドを発表した。今回はそのデータをご紹介すると共に、筆者独自の分析からランニング市場の動向について見てみたい。

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日本対アメリカでの比較

ランニングがブームとして盛り上がっている国といえば、アメリカが挙げられる。しかし実は、日本もまたそれに負けないほど市場が成長してきているのだ。

<フルマラソン完走者数>

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こちらのデータは、世界中で行われたマラソン大会の中でフルマラソンを完走した人数の多い大会TOP15だ。アメリカは7大会、続いて日本は4大会がランクインしている。TOP15大会内での完走者数(延べ)を比べてみると、

・アメリカ:192,457人
・日本:98,703人

・フランス:38,690人

となる。各国の人口は異なり、またTOP15以外の大会もあるので一概には言えないが、実質的に日本はアメリカに次いでマラソン熱の高い国といえるだろう。もう1つ、いかに日本でランニングが盛り上がりを見せているかが分かるデータをご紹介しよう。

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こちらは、2004〜2013年までの完走者数推移を、日米で比較したものだ。

9年間の増減で見ると、アメリカは155,000人(386,000人→541,000人)、日本は207,619人(78,776人→286,395人)の増加となっている。注目すべきは、その増加率だろう。アメリカは40%であるのに対し、日本は263%の増加率なのだ。

もちろん日本と比べてアメリカはもっと早くからランニングブームが到来しており、日本も少しずつランナー人口の増加は緩やかになってきている。しかしこのデータ、よく見れば日米のランナーに大きな違いがあることが分かる。それが、『男女比』だ。

<ランナーの男女比>

まずは先に挙げたデータから、男女それぞれの人数増加について簡単にまとめてみよう。

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あくまで“フルマラソン完走者”という条件下でのデータだが、全体的なランナー人口の増加に対し、女性ランナーが少ないことが分かるだろう。一部のトップランナーを除けば、市民ランナーにおいてはタイムの男女差はそこまで大きくないはずだ。そう考えれば、この比率はある程度ランナー全体についても同視できるものではないだろうか。

アメリカに関して見れば、男女比がほぼなくなってきている。では、なぜ日本では女性ランナーがいまひとつ増えてこないのか。これには単純に女性がランニングに興味を持ちづらいということではなく、ランニングを始めるキッカケや走る時間などが、男性に比べて持ちづらいことが理由ではないだろうか。

また、アメリカではホノルルマラソンやニューヨークシティマラソンなど、制限時間を設けない大会が多く開催されている。これに対し、国内では多くの大会で6時間程度が制限時間だ。制限時間が緩くなれば、全体の完走率やその中における女性比率は高まっていくのかもしれない。

<ランナーのモチベーション>

最後にもう1つ、日米にけるランナーのモチベーションの違いをご紹介しておこう。

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こちらは、国内ランナーの『ランニングを続ける理由』TOP4である。中には「私もこれが理由だな」という方がいらっしゃるかもしれない。では中身を見る前に、続いてアメリカの同データも見てみよう。

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ランニングの目的は人により様々であるが、特徴的なのは日本で3位に『レース出場』がランクインしている点だろう。つまり、完走あるいは記録を目指すランナーが多いのだ。対してアメリカは3位に『ストレス解消』が挙げられているが、いずれも心身の健康等に関わるものであることがお分かりいただけるだろう。

国内では都市型マラソンを中心に、“クリック合戦”も起きている。これは、まさにレースそのものが、ランニングの主たる目的となっているからではないだろうか。仕事終わりや休日に走るのも、アメリカでは走ることそのものに意味を見出すのに対し、日本ではその先に待っている大会に意味を見出して取り組んでいるのかもしれない。

アールビーズ社の代表・橋本治朗氏も、発表の場で「大会に出ることにランニングの楽しみ方が集まり過ぎている」と話し、人気大会への集中が生まれる要因であるとしていた。

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国内ランナーを取り巻く環境変化

では次に、国内のランニング事情について見てみたい。アールビーズ社の発表によれば、国内のフルマラソン大会は2004年に比べて2014年に23大会増加(49→72大会)。2004年から2014年でサブスリーランナー(フルマラソン3時間以内)も約2倍になるなど、ランナーの走力向上も見られるようだ。

<ランナーの走力分布>

ではこの走力、ランナー全体で見るとどのように分布しているのか。それを表したのが、次の図である。

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ランナーの方々は、これを見てすぐに「自分はどこに属するか」と探してしまいそうなデータだろう。倍化したとは言え、サブスリーを達成するランナーは一握りに過ぎない。平均タイムからも分かるように、男性は4〜5時間、女性は4.5〜6時間がボリュームゾーンといえるだろう。

<年齢別のフルマラソン完走者数>

次にフルマラソン完走者を、年代別に分けて見てみよう。

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30〜40代が最も多くなっていることは、一目瞭然だ。先に挙げたモチベーションと合わせると、「30〜40代になって健康を気にし始め、健康維持・改善の手段としてランニングを始めた」人が多いのかもしれない。

そしてこの層は会社などで横の繋がりも多いため、誘われるなどしてランナーが増えていることも考えられるだろう。実際にランニングサークルを社内で作ったり、仕事帰りに仲間同士で走ったり、あるいは企業対抗駅伝などという大会も開催されている。

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気になるランニングトレンド

大会エントリーやアイテム購入など、ランニングは意外とお金もかかる。ちょっと遠くの大会なら交通・宿泊費も必要だし、新しかったり人気のアイテムは自分も欲しくなってしまうだろう。アールビーズ社の発表から、ランナーが“何”に“どのくらい”の金額をかけているか、2014年のデータを一気にご紹介してしまおう。

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いかがだろうか。尚、『大会エントリーにかけた金額』は2013年に比べて約1万円上がっている。これは、1人あたりにおけるエントリー大会数が増えた可能性が考えられるだろう。

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ちなみに女性に限って見ると、“身体のメンテナンス”のため定期的にどこかへ通っている人も多いようだ。最も多いのは『整体』、そして『マッサージ』と続く。スポーツケアはもちろんのこと、美容などを気にする方も多いのだろう。

ちなみにこうしたことに出資する金額は、月3,000〜10,000円程度が多いようだ。

<ランナーのIT化>

最後に1つ、面白いデータをご紹介しよう。インターネットの普及などを背景に、ユーザーが増えているスマートフォン。その国内普及率は約36%と言われるが、ランナーに限ってはその普及率をはるかに凌いでいるようだ。

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ご覧頂ければ分かる通り、70%に近いランナーがスマートフォンを持っているというデータが出ている。確かにGPSウォッチの代わりにスマートフォンでタイム・距離計測を行ったり、レース中の写真撮影をしたりするために、スマートフォンを持ち歩いているランナーは多い。iOS・Android共にマラソン関連のアプリは数多くリリースされており、このデータに納得というランナーも少なくないだろう。

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こちらは、ランナーが主に使用しているWebサービスである。ご覧頂くと、やはり多くのランナーに利用されているのが、FacebookやTwitterを始めとしたSNSだ。レースやトレーニングについて投稿したり、仲間との連絡手段にLINEを利用したりするというランナーも多いのだろう。

最も多くのユーザーを持つRUNNETも、サイトを見るとスマートフォンに最適化されていた。発表会でアールビーズ社のメディア営業部長・高瀬晋治氏が「スマートフォンの機能はランナーのニーズと相性が良い」と話していたが、まさにその通りといえるだろう。

(取材・文/しらべぇ編集部・三河賢文

※データ・画像出典元:アールビーズ株式会社

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