【歴史は繰り返す】夫を裏切る「昼顔妻」は700年前からいた!?

2015/01/09 07:00

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もう年も明けて2015年ですが、昨年、フジテレビ系列の『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』をきっかけに「平日昼顔妻」という言葉が話題になりました。

平日昼顔妻とは、フジテレビの『ノンストップ!』が、ルイス・ブニュエル監督、カトリーヌ・ドヌープ主演の映画『昼顔』から着想した造語で、夫を会社に送り出した後、平日昼に別の男性との恋に落ちる主婦のこと。

浮気・不倫と言えば「既婚男性と独身女性の間で起こり、既婚女性は被害者」という従来の図式を覆したという点で、注目されているようです(フジテレビ『昼顔』公式ホームページより)。

ところで、先日古典を読んでいたところ、「昼顔妻」にしか思えない女性を発見したので、ご紹介したいと思います。

その話が記されているのは『沙石集』という仏教説話集で、実際にあった話をもとに仏教の教えを説明しています。

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無住というお坊さんが1300年頃にコレを書きました。なんと約700年前! 時は鎌倉時代です。今回ご紹介する話は難しい仏教の話は抜きにして、ざっとあらすじをご紹介しましょう。



 

700年前の「昼顔妻」のお話

むかしむかしあるところに、お坊さんがいました。そのお坊さんは年をとるまで妻を持っていませんでしたが、70歳になって若い尼さんと結婚しました。奥さんは40歳くらいの尼さんでした(驚きの30歳差婚!)。

噂話をあけすけにする人だったので、結婚したお坊さんの愚痴を周りに漏らしていたようです。尼さん曰く、ある日夫が「お湯を持ってこい」というので急いでお湯を沸かしました。「お湯が沸きました」というと、「もういらない」と言われたそうです。妻である尼さんは、いつもこんなふうで腹は立つし、面白くないと思っていました。

さて、尼さんは高齢な夫を丁寧にお世話することもなく、なんと若い修行僧をこっそりと家に通わせて浮気をしていました。

夫は住んでいる家もそれなりに立派で、食事にあてる財産も持っていました。そこで妻は「夫である老僧を殺して、若い僧と結婚し、今の家に住み続けよう」と考えました。そしてある時、夫を組み伏せて首を思いっきり絞めました。

夫のお坊さんはほとんど死にそうになりましたが、必死に「人殺しだ!」と叫びました。それが他の僧に聞こえて、様子を見に来た僧に尼さんは取り押さえられました。夫である老僧は九死に一生を得ました。


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現代ならきっと昼ドラかワイドショーのネタ?

まるで平日の昼に放送されるドロドロのドラマのような話ではないでしょうか。真偽のほどは定かではありませんが、作者の無住はこれを実際に聞いた話として本に載せています。

この話はかなりショッキングな話です。登場人物がお坊さんなのも衝撃的でした。しかし、昼顔妻だけでなく、夫に振り回されて腹を立てる妻という関係性や「年の差婚」お金目当ての殺人未遂など、現代の私たちでも周りで聞く話・事件、共感できる要素がいくつもありました。

お金は持っているが自分を振り回す夫に嫌気がさして、尼さんは不倫をしてしまったのかもしれません。ここまでの出来事はなかなか起こらないと思いますが、男性の方はこんな古典をきっかけに、自分と奥さんの関係を振り返ってみてはいかがでしょうか?

参考文献:小学館 『新編日本古典文学全集52 沙石集』 2008年 小島孝之

(文/しらべぇ編集部・スギタユノ

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