2015年の米アカデミー賞は「1965年」で一色だった…有名俳優たちが涙した理由

2015/02/25 17:00

selma

日本時間で2月23日に行われた第87回アカデミー賞授賞式。アカデミー賞は、式典自体がエンターテイメントショーになっており、司会(ホスト)の力量、スピーチの内容、スペシャルアクト、特別映像などが全世界から注目を浴びるが、今回の式典のキーワードは、“1965年”だった。

あるパフォーマンスを紹介するためのプレゼンターとして登壇した女優のスカーレット・ヨハンソン。彼女は、1965年という時代について、「ビートルズが全盛期を迎えた時代」と話し始め、1本の名作映画が公開された年であることも紹介した。その作品は、ミュージカル映画の金字塔、『サウンド・オブ・ミュージック』だ。

第二次世界大戦、そしてナチス・ドイツによるオーストリア併合の前夜となる1938年のオーストリアを舞台に描かれた、この『サウンド・オブ・ミュージック』。1965年の公開から50年に渡って世界中で愛されてきたその大きな理由のひとつは、劇中で歌われる美しい音楽の数々だろう。

スカーレット・ヨハンソンは、同作の公開50周年を記念して披露された、レディー・ガガによる『サウンド・オブ・ミュージック』メドレーのパフォーマンスを紹介。当代一流のポップスターでありながら、トニー・ベネットとともにジャズのスタンダード・ナンバーにも取り組んできたレディー・ガガは、心震わす歌唱力と表現力で「私のお気に入り(My Favorite Things )」「エーデルワイス(Edelweiss)」といったナンバーを歌い上げ、会場の大喝采を浴びた。

そしてパフォーマンス後、ガガが立つステージに、『サウンド・オブ・ミュージック』で主人公のマリアを演じた女優のジュリー・アンドリュース(79歳)が登場。ガガが、感激した表情で“おしとやか”に「incomparable, Julie Andrews.(唯一無二の存在、ジュリー・アンドリュースです)」と最大限に敬意を込めた紹介をする姿が印象的だった。

スカーレット・ヨハンソンはまた、1965年について、「キング牧師がセルマで行進した年」とも話している。今回のアカデミー賞では、この“行進”を題材とした映画『セルマ』が作品賞にノミネートされており、オスカー・モーメント、すなわち式典で最も印象的だった場面も、この映画にちなんだアクトだった。

1965年3月7日、公民権法制定後でも黒人への人種差別が収まっていなかったアラバマ州セルマで、約600名の公民権運動家が州都・モンゴメリーに向けてデモ行進を行った。しかし、わずか6ブロック先の「エドマンド・ペタス橋」に達したところで、州兵や群保安官達がこれを妨害。無抵抗のデモ隊に対し警棒や催涙ガスを使って攻撃し、セルマへと追い返した。

これにより、17名のデモ参加者が病院に収容。事件は、「血の日曜日事件」と呼ばれることとなった。映画『セルマ』は、この「血の日曜日事件」、そしてその後行われた同地での行進運動を描いている。

式典では、映画にも出演したラッパーのコモンと歌手ジョン・レジェンドが、同作の主題歌である『Glory』を披露。同曲は、複数の個人名を挙げたうえで公民権運動、そしてキング牧師について歌っている。

「エドマンド・ペタス橋」を再現したセットでパワフルかつメッセージ性たっぷりに披露された2人のパフォーマンスは圧巻で、この日最も長いスタンディングオベーションを浴び、さらに複数の有名俳優たちが隠すことなく大粒の涙を流していた

映画というフィルターを通して50年前の「1965年」に焦点をあてた今回の式典。ただの“授賞式”で終わらせないからこそ、全世界の人が毎年その中継に釘付けになるのだろう

※画像はYouTube「Selma Official Trailer #1 (2015) – Oprah Winfrey, Cuba Gooding Jr. Movie HD 」のスクリーンショットです

(文/しらべぇ編集部

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