卒業・解散が避けられない中、アイドルファンはいかにしてアイドルを愛し続けるのか?

2015/03/11 19:30

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先日、人気アイドルグループのBerryz工房が日本武道館で行われたコンサートを最後に、約11年間にわたる活動に幕を閉じました。

しばしば指摘されるように、アイドルには卒業と解散がつきものです。彼女たちの年齢は10代に集中しているため、メンバーの中には当初抱いていた芸能界で活躍するという夢を変更し、進学や就職を理由に引退するケースが少なくありません。

また、そもそも運営がうまくいかずグループ自体解散に追い込まれるケースも見られます。特に、小規模で活動する地下アイドルの場合、その傾向は顕著です。

このように、アイドルが辿る運命は、いくら応援するファンがいれど、それとは別の変数によって決められてしまうケースが少なくないのです。

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■なぜファンは応援し続けるのか?

ここで疑問となるのがアイドルファンの心情です。たとえばAKB48。このアイドルグループは、規模が拡大するなかで、これまで多くの卒業メンバーを生み出してきました。ファンの中には、長年応援してきたメンバーが卒業を発表したとき、新たな門出を祝う気持ちと、もうステージで彼女の姿を見れないことへの寂しさが同時に襲い掛かり、複雑な感情を抱く人も少なくないといいます。

いったい、アイドルファンはいかにしてアイドルを応援し続けるのでしょうか。今回話を聞いたのは、異なるタイプのAKB48ファン2名です。

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■Yさん(26才・男性・金融関係)

「2008年からAKB48のファンになって、これまで推しメンが7人卒業してきました。最初にハマったのが元チームKの早野薫さん。当初は、さみしい気持ちもありましたが、1年ほどファンを続けていると、彼女たちがいずれ卒業することをわかりながら応援するようになりました。それからは前向きに応援を続けています」

-卒業することをわかっていたら応援する気がなくなる、とはならないのですか?

「ならないですね。卒業するとしても、今この瞬間にメンバーが頑張っている姿を僕は応援してますから

-今も「推しメン」がいますか?

「います。最初は一人のメンバーだけを推す『単推し』だったのですが、いまはほかのアイドルグループを含めて複数の推しメンがいるので、ショックは和らいでると思います(笑)。メンバーが卒業しないことを祈るのではなく、メンバーに卒業されても僕たちファンが平気な状況をつくるほうが現実的な解決策なんです

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■Mさん(33才・男性・無職)

一方、Yさんとは異なる価値観を持つアイドルファンもいる。

「時間とお金をかけて応援してきたアイドルが去るのはさみしいことです。卒業してからも応援しよう、なんて表向きには言われがちですけど、グループにいたときの彼女と卒業してからの『元アイドル』はやはり違うものというのが僕の認識です」

-では、卒業してからは応援しないんですか?

「応援しなくはないですが、やはり彼女に対する『見方』も『応援の仕方』も変わります。そもそも会える『現場』が極端に減るわけですし。彼女たちの活動内容も変わりますから」

-内容が変わるというのは?

「元アイドルって女優を目指すケースが多いんですよ。その場合、ファンの前に現れることなんてまずなくなります

-応援のスタイルを維持できなくなるということですね。

「そう、スタイル。僕は応援のスタイルがアイドルファンとしてのそれですから、別のアイドルを追いかけざるを得ない。ライブでコールしたり、握手会をしたり。ただ、どこかで自分の心地よい範囲のなかでアイドルを応援したい気持ちがあるのかもしれませんが」

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■アイドルファンの数だけ応援のスタイルが存在する

話を聞いている最中、2人の口から出たのが「アイドルファンの数だけ応援のスタイルが存在する」というセリフだった。卒業してからも熱心にメンバーを追い続けて応援する人もいれば、元恋人のように、そっと心の中にしまい込みながらも静かにエールを送るファンもいるという。ゆえに、卒業するアイドルに対するファンの心情は、そう単純な言葉で言い表すことはできないようだ。

卒業や解散が身近なアイドルという刹那的な業界の中で、それでも本気で応援するファンの姿勢にこそ、アイドル自身が活動するモチベーションが内在していることは間違いないだろう。

(文/しらべぇ編集部

※画像は板野友美公式サイトのスクリーンショット

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