ネットニュースはどう変化してきたか?私がライター初心者だった頃の事件【イベント情報アリ】

2015/03/22 20:00

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ネットニュースはどこからきて、どこに行くのか。皆さんと一緒に考えたい。

イベントのお知らせをさせて頂く。3月27日(金)の夜に、ゲンロンカフェにて「ネットニュース」に関するイベントを行うことになった。ゲンロンカフェは、東浩紀氏がプロデュースするイベントスペースだ。

出演者は、私、常見陽平の他、この「しらべぇ」主筆のタカハシマコト氏、「東洋経済オンライン」の編集者武政秀明氏と一緒に、ネットニュースの現在とこれからについて語り合う。2人は、私が心から信頼している、間違いないスキルとパッションの持ち主である。

ネットニュースで読まれる記事、支持される記事の書き方、サイト運営のコツなどプロ向けの話から、ネットニュースの裏話まで、何から何まで洗いざらい話すので期待して欲しい。

詳細と予約方法はこちらを読んでほしい。


実に感慨深い。というのも、ちょうどネットニュースの記事を書き始めて10周年だからだ。私はいま、40歳。「ライター」では、私よりベテランの方はもちろん沢山いるが、「ネットニュース」に限った中で言うならば実はベテランの方ではないかと思っている。

今回は、イベントの予告編的に、あくまで私が書き手として、また読み手として目撃してきたネットニュースの歴史を振り返ってみたいと思う。私はメディア論の専門家でも、ましてやネット系の人でもない。ゆえに素人っぽい記述が多々あることを含みお読み頂きたい。


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■常見陽平がネットニュースライター初心者だった頃

私がネットニュースライターデビューしたのは、サイバーエージェント社が運営する「アメーバニュース」だった。立ち上げ当時から数年に渡り書いていた。10年前は、新聞社・通信社などではなく、ネットニュース運営会社発のオリジナル記事が配信され始めた頃だったと記憶している。

アメーバニューススクリーンショット

※画像はスクリーンショットです。

サイバーエージェントが運営する「アメーバニュース」が立ち上がったのにもちゃんと理由があって、当時ブログがブームになっていた頃だが、素人が書き続けるにはネタが足りなくなってしまう。そこで、ブログに引用しやすいニュースサイトを立ち上げよう、と。そんな理由だったように思う。

盟友・中川淳一郎の誘いで、私はライターになる。私は、書く場所ができるだけで嬉しかった。すべて匿名の記事だったが。

その頃から私が書くニュースというのは、キャリアに関するネタからエンタメ系など、まあ、今とあまり変わらなかった。当時は見よう見まねでやっていた。今では恥ずかしくなるくらいに下手だった。いや、今もあまり成長していないが。


関連記事:意識高くネットで発信しまくっている常見陽平が日記を始めたわけ

 

■ライター初心者時代の“大炎上”記事

炎上

Photo by Cameron Strandberg

そして、何度も「炎上」していた。当時のアメーバニュースにはコメント機能があったし、そうじゃなくても2ちゃんねる、はてなブックマークなどに飛び火していた。

当時の原稿が、出てきた。中川淳一郎のベストセラー『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社)でも紹介された炎上記事をここで紹介しよう。すでにサイトからは削除されているのと、書き手は私だったので、ここに引用して紹介する。

※ただ、そのまま載せては今の掲載コードに引っかかるので、一部をよりソフトな表現に書き換える。書き換えた部分はわかるように、括弧でくくることにする。

北海道民の性交事情 「なまらへっぺしたいべや!」


日本ハムファイターズ日本一、駒大岩見沢の大奮闘など、今年は野球でフィーバーした北海道。一方、北海道は歓楽街ススキノがあることでも有名。夜のボールとバット事情はどうなっているのだろうか?我々、取材班の調査の結果、意外な事実が明らかになった。


「北海道民は『性交』のことを“へっぺ”と言うらしいです!」


へっぺ!


なんともかわいい響きである。


しかも、北海道では「とても(VERY)」のことを「なまら」と言うそうだ。まるで「◯ラ」のようである。さらに、語尾には「べや」をつけるのが北海道弁のポイント。


「とても『性交』したい」を北海道弁に訳すと


「なまらヘッペしたいべや!」


になるわけである。


ボーナス時期ということもあり、ススキノの◯ープ街では今頃、ヘッペしているおじさんでいっぱいなのであろうか?


ところで、卑猥な言葉の方言って他にもないですか?教えてください。


したっけ!(北海道弁でじゃあね、またね、の意味)

これが、大、大、大炎上した。読み返してみても、文字数少なめでざっくりとしすぎている。

中川氏の解説では、私が北海道出身だということをちゃんと書けば炎上しなかったのでは、ということだったが。そもそも「へっぺ」は私が10代だった1980年代にはギリギリ使われていたものの、今の若者は絶対使わないようだ。ああ、すまない。


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■ネットニュース史上の5大事件

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真面目な話に戻ろう。ネットニュースの歴史を語る上で、次の論点があげられると思う。

1.媒介・拡散するツールの変化

ブログ、2ちゃんねる、はてなブックマーク、mixiに始まり、Twitter、Facebookなどなどに変化、多様化。ヤフートピックスに載ることや、スマートニュース、グノシー、ニュースピックスなどニュースキュレーションサービスにもその要素があると思う。

実は、この媒介・拡散ツールの変化というのがネットニュースの変化でもあり、ジレンマだったのではないか。これが徐々に、ウケねらいの釣りタイトルの増加にも関係しているような。タイトルしか読まない、脊髄反射的な反応というのも、これらが増長してるような。


2.サイトの増加→ライター、編集者不足?

言うまでもないことだが、ネットニュースのサイトがどんどん増えてきている。最近では、メディア企業以外が運営するオウンドメディアも増加。ライターや編集者が不足している。一方、これにより記事の質が劣化するというのもネットニュースがずっと抱えている問題。


3.ウケる記事の変化

やってみた、行ってみた系もウケているものの、最近は硬派で長い記事がちゃんと読まれるように。


4.読む手段の変化

すごい勢いでPCからスマホ、タブレットに移っているように思う。これを意識した、わかりやすい記事作りが求められているような。とはいえ、前述したように、長くても読まれる時代になってきているようにも思う。


5.書き手の変化

よくネットニュース=若い無名ライターが書いているという印象があるが、もともとの紙媒体での大御所や、大学教授などの専門家が参戦したりという変化が。また、年齢、キャリアに関係なく、キャラの立った書き手が登場しているという変化も。


まだまだあるが、いったんこの辺で。

思うに、ネットニュースの本数も増えているし、タイトルだけで脊髄反射されることもあるわけで(そして、タイトルはライターだけでは決めることができない)いかに読んでもらえるかという競争を常にしている。そんなネットニュースに絶望したこともあったが、読者の期待に応えるためのことを日々、マジで取り組んでいると思う。

3月27日(金)はそんな話を、心を込めてすることにしよう。最新作下積みはあなたを裏切らない!のサイン本即売会もする。ぜひ来て欲しい!

迷わず来いよ、来ればわかるさ!YOUも来ちゃいなよ!

(文/常見陽平

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