語り継がれる「ことわざ」のつくり方【黒田勇樹の妄想的語源しらべぇ】

2015/03/26 18:00

しらべぇ_黒田勇樹

フリーランスになってから、「どうせ俺がいないと始まらないんだから、5分10分の遅刻は遅刻じゃない」という価値観が自分の中に生まれつつあり、戦々恐々としている黒田勇樹です。こんにちは。

大人なんだからね、時間ぴったりに現場にいないとね。

このコラムでは、子供の頃から芸能の世界で台本や台詞に触れ続け、今なお脚本家やライターとして「言葉」と向かい合っている筆者の視点から、様々な「言葉の成り立ち」について好き勝手に調べ、妄想をふくらませていこうと思います。

この連載の中で、「言葉の成り立ち」について考えるにあたって、無視しては通れない存在。それは「ことわざ」です。

以前、名言について考察した際にも書きましたが、筆者は「それだけで状況が限定され、誰しもが同じ意味で捉えることが出来る言葉」を美しいと思っており、ことわざにはその全てが詰まっています。


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■「石の上にも3年」

石の上にも三年_猿

Photo by Tambako The Jaguar

絶妙です。これが「石の上にも15年」とか「剣山の上に2ヶ月」であれば、心に響く人は、激減するのではないでしょうか?「石」の上に「3年」だからこそ、「そうだな、そのくらいは我慢しなければな」と、自分を戒めることができるのです。


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■ことわざの成り立ち

これは様々な出自があるようですが、基本的には文化や風俗に根付き「語り継がれている」名言であることが「ことわざ」の定義とされているようです。

慣用句と似ていますが、故事や伝説から発生しているものが多いせいか、「そこに物語がある」ものが「ことわざ」に分類されていることがよく見られます。

先ほどの「石の上にも3年」や「李下に冠を正さず」など、そこだけを切り取っても教訓とともに、ストーリーを感じないでしょうか?


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■新しいことわざは生まれない?

刀

Photo by Marco / Zak

離婚後の心境を端的にあらわす新語「辛すぎて今なら妖刀が打てそう」が、惜しくも流行語大賞を逃した筆者ですが、自分も何か後世に語り継がれる「ことわざ」を作りたいと考えています。

しかし、「ことわざ」は語り継がれてこそ初めて「ことわざ」足りうるワケで、今何を言ってもそれが「ことわざ」と、呼ばれることはありません。

もし呼ばれることになるとしたら100年後ぐらいでしょうか?文化に基づきながら、普遍的に語り継がれるストーリーを感じる一言。こういうのは、どうでしょうか?


「電車は、急いでくれない」


早めに出かけることを心がけましょう、という意味のことわざです。

マジで電車は急いでくれないし、電車の中でどんなに焦っても到着時間はダイヤ通り。遅刻しがちな新入社員などに使ってみてはいかがでしょうか?

少なくとも筆者は、今日から自分に言い聞かせようと思います。

(文/ハイパーメディアフリーター・黒田勇樹

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