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【コラム】小雪「親になって初めて人間」で炎上… 出産未経験者と経験者の感情

コラム

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山本一郎(42歳)です。三児の父です。

育児は大変です。家族でレストランにいっても、光の速さで戦場になるのが山本家の日常であります。画像は極日常的な山本家の有様ですが、もはや何の感情も湧かない無の境地に陥っている私の表情がすべてを語っていると思います。

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ところで先日、映画『杉原千畝 スギハラチウネ』という人道的な外交官を描いた映画に出演した女優の小雪が、その製作会見にて、役柄の女性と同じく3人の子供を儲けていることの大変さも踏まえて考えを披露していました。

親になって初めて人間…小雪の発言が大炎上! 「セクハラ親父と同じ思考回路」と厳しい声(メンズサイゾーより)

まあ、そこで「親になって初めて人間にさせていただいているなと感じます」と話したことでメディアに一部を取り上げられ、内容が「親になって初めて人間」という言葉に転換された結果、ネットで炎上したわけであります。

発言した内容をつぶさに見る限り、子供を出産したので人間として成長できましたという話に過ぎず、子供のいない女は用無しの穀潰しだ早く死ねというものではありません。本来は炎上する要素もないように見えるわけですが、所属事務所が弱いとこうも変な話にされてしまうのかと思うと芸能界の恐ろしさを感じる次第であります。

で、この発言もそうですが、やはり出産経験者と未出産の間での子供に対する意識の違いというものはかなり明確にあります。

各種調査でも、子供が生まれること、子供に対する認識や意識は原則としてポジティブなものとして捉えられ、人間、とりわけ女性にとって、人生の大きな選択としての結婚、そして出産は「人間としての充足」に直結する問題だと言えます。

出産を経験した人がその経験をもとに「子供を儲けて一人前」と言いたくなる気持ちになるのは、この子供ができたこと、育てながら子供と触れ合うことで、未婚・子供なしの時代からの意識変化が大きいことを自覚しているからに他なりません。

【子どもを持つことについての考え方】

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資料:厚生労働省政策統括官付政策評価官室委託「若者の意識に関する調査」(2013年)
(設問)子どもを持つことについての考え方で最も近いものを3つまで選んでください。
(注)「その他」・「特にない」については、掲載を省略している。

【子どもとはどのような存在か】

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資料:厚生労働省雇用均等・児童家庭局「少子化に関する意識調査」(2004年)より厚生労働省政策統括官付政策評価官室作成
(注) 1. 「あなたにとって子どもとはどのようなものですか。独身の方も、仮定でお答えください。(○は3つまで)」と尋ねた問に対して回答した人の割合 2. 選択肢はほかに、「その他」。

※データ出典:「平成25年版厚生労働白書 -若者の意識を探る-」より

一方、子供を諦めた人というのも多数あります。意識調査の中でもデリケートなのは、やはり子供を生まなかった、生めなかった人は、他人の子供自体や子供のいる家庭、人物に対して複雑な感情を抱きがちであるという点です。

マーケティングで行う際に母集団の基礎調査で必ず出るのが「独身者にとって不快感のない既婚者芸能人はどういう人物か?」という好感度調査で、とりわけ酒類、自動車など高額の耐久消費財の宣伝にタレントや芸能人を起用するとき、独身者向けの商材にはなるだけ既婚者イメージのある人は使わないという経験則に基づく不文律があるぐらいです。

以下は大口の広告のプランニングで行った基礎調査で出た内容ですが、年代に関わらず、おおむね未婚女性は年齢が上がるほどに、妻帯者に対する恨み値(ヘイト値)を増やしていきます。

「ああ、もう自分は出産できる年齢でもないんだ」と諦めがついてからもしばらくは子育て女性に対する恨みは減少せず、自分の人生の終末が見え始める56.6歳ごろをダックカーブに達観していく独身女の人生が垣間見えるようです。

調査自体は2004年ぐらいから続いていますが、どの時期にやっても概ね同じようなレート、似たようなカーブになるので、おそらくこの辺が既婚者や他人の子供に対するイラつき指数だと考えてよいでしょう。

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※「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計(未婚女性895人から回答)

実のところ、子供を生みたいと思ったのに年齢的、健康的理由で諦めたご家庭や、若いころは子供は要らないと思っていたのに歳を経るごとに子供を作りたいと焦り出す女性はたくさんおります。

サンプリング調査をしますとやはり「人生諦めるゾーン」で猛烈な後悔をされる方が多いのがこの手の問題の特徴です。こういう人たちからしますと、小雪のように女優をやっていて子供ができて「親になって初めて人間(キリッ)」とか言われると、やはり相当なウザがられ方をするのだろうと思います。

そういう後悔をしたり、曲がりなりにも育児に頑張っている女性に対する嫉妬で身を焦がす思いをするのはとても辛いことです。取り返しのきくうちに行動して結婚なり出産ができるよう努力するべきだと思いますし、もう生涯独身で子供なしが確定してしまったご年齢なら世間を恨まずに穏やかに暮らせるような心の整理をしたほうが天国に近いところで暮らせるのではないかと感じるわけです。

一方で、子育てに追われる女性側は、子供のない女性に対しては悲しいことに「何とも思っていない」のが実情です。どの調査を見ても、何の感情も抱かないのが大部分、マジョリティで、よほど子供が嫌いだけど生んでしまった、生活が苦しいという人でない限り、同情も共感もしないようです。このあたりに女性の真の凄さを感じる次第です。

やはり、このあたりは歌手の倖田來未さんが語った「35歳をまわるとお母さんの羊水が腐ってくるんですよね」発言も含めて、デリケートな言葉が女性の負の感情に火をつけてバッシングの対象になる、というのが繰り返されるわけです。表現はともかく、ある程度真実は含んでいるのだから自分なりに受け止めて咀嚼して欲しいぞと思いました。

(文/山本一郎

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