【教育クイズ】大学入試改革で何が変わる?

2015/09/17 11:00

sirabee0917oota001@iStock/AtomStudios


 

■大学入試改革の本格始動が後ろ倒し!?

2020年度以降、大学入試改革が予定されていますが、8月末に発表された中央教育審議会答申の中間まとめによると、その本格的な実施が4年ほど後ろ倒しになりそうだという気配です。

なにがなんでもという気合い十分で話が進んできたはずなのですが、実際のテストの実施方法など具体的な話をする段階になって、ややトーンダウンしてきた感じがします。

大学入試改革の概要をおさらいしましょう。

最もわかりやすいのはセンター試験がなくなること。その代わりに高校在学中に「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」という2つの「達成度テスト」が実施される見込み。

各大学の個別の入学試験についても、「脱ペーパーテスト」を掲げ、小論文や面接、集団討論、各分野での受賞実績などを評価対象にするという方向性です。

これは要するに欧米型の大学入試に近づくということです。従来の推薦入試やAO入試にも似ています。


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■日本の教育は今後どうなるのか?

本格的な実施が後ろ倒しになりそうだということですが、もし、この大学入試改革が、今言われているとおりの方向性で実施されるとしたら、どんなことが起こるでしょうか。

予測してみてください。

①大学生の学力が下がる

海外の大学への進学者が増える

中高一貫校が大学受験でますます有利になる

①は、現在の一部大学によるAO入試の状況から成り立つ予測ではありますが、AO入試という入試制度が悪いわけではなくて、やり方が悪いだけなので、大学入試改革によって大学生の学力が下がるとは言い切れないと思います。

そもそも「学力とは何か?」という問題もあります。単に難しい数学の問題が解けるとか社会科の知識の量が多いとかそういうことではないはずです。

欧米型の大学入試になるのだから、いっそのこと海外の大学に行ってしまおうという発想もある程度は出てくる可能性もあります。しかし、現実的には言葉の問題もありますし、何より経済的な問題があります。

海外の大学に通うためには年間400から500万円もの費用がかかるともいわれています。奨学金制度を充実させたりしない限り、日本の平均的な家庭では難しい選択でしょう。

この3つの中で、多分な確率で生じるだろうことは③だと私は思います。


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■「時間がかかる教育」が必要になる

今回の大学入試改革の目的は「学力観」を変えることです。「付け焼き刃」の受験対策で身につけられる学力を評価するのではなく、もっと本質的な学力を評価の対象にしようということです。

つまり「付け焼き刃」では対処できない、時間がかかる教育をしていこうということです。高校3年生で大逆転ということが、起こりにくくなるということです。 そうなると、高校受験がない中高一貫校が有利になります。

中高一貫校では高校受験がないので、中学生のうちは目先のテストの点数にとらわれない学習ができます。理科では実験を行ったり、社会ではディスカッションに時間を割いたり。

そういう土台があるから、大学受験でも高い成果を出すことができるのです。大学入試改革が実施されれば、その傾向がますます強まることが考えられます。

そもそも欧米先進国では中高一貫教育が当たり前なのです。あのハリー・ポッターも、日本風にいえば中高一貫校の生徒です。

中高一貫教育の本当の価値については、9月11日に発売になりました拙著『進路に迷ったら中高一貫校を選びなさい』をお読みいただければと思います。帯に「『いい大学に行ける』はおまけです」とあります。

大学入試改革が実施されれば、大学入試だけが欧米型で中学・高校は日本式というアンバランスが生じることになりかねないことを、今の小学生以下のお子さんをお持ちの親御さんは知っておいたほうがいいでしょう。

<書籍紹介>中学受験 進路で迷ったら中高一貫校を選びなさい』(おおたとしまさ著、ダイヤモンド社)。さまざまな教育現場を丹念に取材し、中学受験書籍のベストセラーを連発してきた教育ジャーナリストが、中高一貫教育の真価を本音で紹介。上の画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。

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※この記事は全国のFMラジオネットワークJFNの「OH! HAPPY MORNING」とのコラボ企画です。記事の更新は隔週木曜日11:00am。記事更新の約30分前に、おおたとしまさがラジオで同様の話をおしゃべりします。

(文/おおたとしまさ

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