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【弁護士コラム】子どもにタバコ=「暴力行為等処罰法」??

コラム

子供にたばこ©iStock.com/saiyood

自称24歳無職の男が、交際中の女性と一緒になり、2歳の長男にタバコを吸わせ、Facebookに掲載したところ大炎上。最終的にふたりは暴力行為等処罰法違反で逮捕されたという出来事が、先日ニュースになっていました。

取調べでは「遊び半分でやった」と供述しているそうですが、あまりにもひどい。2歳の長男がかわいそうです。

と、ここで、読者の中には、このニュースを聞いて「何でこの法律なの? 刑法の暴行罪とか傷害罪なんじゃないの?」とお考えになった方もいらっしゃるかと思います。

そこで今回は、暴力行為等処罰法について説明したいと思います。まずは、アンケートサイト「マインドソナー」を使って認知度を確かめてみましょう。

 

■「暴力行為等処罰法」の認知度は…!

暴力行為等処罰法

やはり知らない人は多いですよね。私も、この法律について、弁護士になるまで、勉強したことがありませんでした(汗)

さて、暴力行為等処罰法は、集団的な暴力行為や脅迫行為、器物損壊行為等を処罰する法律です。これらの行為は刑法にも違反している行為なのですが、

・集団で暴力をふるって物を壊す
・集団ではなくても刀剣や拳銃を使って人を傷つける

 

など、上記のようなあまりにも物騒で刑法の刑じゃ足りないというケースのために設けられた法律で、通常よりも厳しい刑罰が規定されています。

 

■実は歴史ある法律だった!

この暴力行為等処罰法、正式名称は「暴力行為等処罰ニ関スル法律」です。カタカナというところでピンと来た方もいらっしゃるかと思いますが、すごく古い法律で、大正15年(89年前)に制定された法律です。

アンケート結果のとおり、有名ではないこの法律ですが、古い法律ということもあって歴史があり、いろいろな適用例があります。

 

■適用範囲はデモからいじめまで

この法律、そもそもは治安警察法が由来で、政府が労働者のストライキを取り締まるためのものだったようです。1960年代には、デモを行う学生らが国会に乱入した行為について、この法律が適用された例が見られます。

そして最近ではさらに姿を変え、いじめ問題の場面で適用される例が見られます。

たとえば、去年、「失神ゲーム」と称して、4人がかりで男子生徒の胸を強く圧迫して失神させるなどした容疑で、男子中学生3人が逮捕、13歳の生徒1人が補導されたという事件がありましたが、この事件は暴力行為等処罰法違反の容疑での逮捕でした。

また、今年7月には、数人がかりで男子生徒に水をかけて追い回したり蹴ったり等のいじめをしていた中学2年の女子生徒が、暴力行為等処罰法違反の容疑で逮捕されました。

 

■ふたりでも「団体」扱いになる理由

冒頭のニュースの事例では、たとえふたりであっても、2歳の長男にとってはあまりにも多勢に無勢なので「団体」と判断されたのではないでしょうか。

ニュースによると、2歳の長男には健康被害はなかったということで、これがせめてもの救いです。

(文/弁護士・佐藤大和

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