【弁護士コラム】ゲスい熱愛報道の数々…週刊誌を信じるべき?
明けましておめでとうございます。レイ法律事務所代表弁護士の佐藤大和です。
年末年始は、皆様はどのように過ごされましたか? 私は、残念(?)なことに、事務所で仕事をしながら年を越してしまいました。今年も仕事の年になりそうです(悲)
さて、そんな私が気になったのは「年末年始の恋愛報道」。最近の芸能人の恋愛報道は、少し過熱気味かなと思っています。ちっ、僕も恋愛したい。
■芸能人の恋愛報道を信じる割合は?
アンケートサイト「マインドソナー」で「芸能人の熱愛報道を信じている?」と質問したみたところ、19.1%が「信じている」と回答。
おっと、意外に恋愛報道を信じる割合は低いですね。僕もあまり信じていません(笑)
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■事実無根の報道は犯罪?
年末の恋愛報道の1つとして、三船美佳さんも神田さんとの熱愛報道がありましたね。両者ともに事実無根と否定していますが、これが事実無根な報道であれば、離婚裁判中である三船さんにとって、かなりはた迷惑な報道といえるでしょう。
ところで、事実無根の報道は名誉毀損罪という犯罪になるのでしょうか?
法律上、名誉毀損罪とは、公然と事実を摘示し、人に対する社会的評価を害するおそれのある状態を発生させたことを言います。
ということで、社会的評価を下げるおそれのある記事でなければ、名誉毀損罪にはなりません。
実際に評価を下げなくても、おそれがあれば成立するのですが、不倫等はともかく、普通の恋愛報道のみで社会的評価を下げるおそれがあるかというと、う~ん…なかなか難しいと思います。
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■損害賠償は可能?
とは言っても、恋愛報道が出た場合、タレントにとってマイナスになることはあります。とくにアイドルや好感度の高いタレントの場合、ファン離れが起きたり、恋愛の内容によってはCMや番組のレギュラーがなくなったりします。これは、タレントを抱えている事務所にとって大きな損失になります。
では、事実無根の場合、損害賠償を可能でしょうか?
法律上、わざともしくは不注意によって相手方に損害を与えた場合、損害賠償の責任を負わなければなりません。
そのため、事実無根であれば、報道した機関は、損害賠償責任を負わなければならない可能性があるといえるでしょう。
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■損害賠償のリスクがあっても報道する?
では、週刊誌等は、よく恋愛記事を掲載していますが、損害賠償のリスクがあるにもかかわらず、なぜ報道するのでしょうか?
大きな理由のひとつとして、損害賠償額の低さがあるといえるでしょう。かりに、週刊誌等側が裁判で負けたとしても、週刊誌等の売り上げ等のほうが圧倒的に大きいといえます。
これはあくまで推測にしか過ぎないですが、そのため、ある程度のリスクがあっても、売れるために記事にするのでしょうね。もちろん、しっかりとした取材に基づいているんでしょうけど(多分)。
これは個人的な感情ですが、どうも裁判所は、人の名誉に対する損害を低く考えているようにさえ思います。
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■おわりに
冒頭でも書きましたが、最近の恋愛報道は過熱気味。ふたりで歩いている(もしくは食事している)だけで、恋愛(熱愛)。いまどき、それだけで「恋愛」とは、子どもでも思いません。
それは、読者もわかっているでしょうけど、「恋愛」と断定したうえで、報道された当事者にとってはたまったものではないでしょうね。とは言っても、週刊誌側もビジネスなんでしょうけど…
(文/弁護士・佐藤大和)