【内科医が解説】お酒を楽しむために知っておきたいこと

2016/01/21 15:00

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©ぱくたそ

忘年会ラッシュが終わったと思いきや、今度は新年会シーズンに突入。食べ過ぎ・飲み過ぎで、からだが心配になる時期です。


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■肝臓を気にする人は意外と少ないが…

図1

しらべぇ編集部が全国の男女1,371人に聞いたところ、「お酒の飲みすぎで肝臓が心配になったことがある」と答えたのは16.4 %でした。

女性よりは男性に多く、男性では年齢とともに増加する傾向にありました。職業別にみると、専業主婦(夫)が8.2 %と最小です。

不可抗力的にお酒を飲む機会の多さと、加齢とともに増す健康への不安感が関係しているのでしょうか。ここからは、頻繁にお酒を飲む機会のある人が知っておくべきことを、内科医の視点で解説します。


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■日本人の2人に1人は「お酒に弱い」体質

「お酒に強い」とは、摂取したアルコールを無害な物質へ分解するスピードが速いということ。

アルコールは肝臓に運ばれアルデヒド脱水素酵素などにより代謝されますが、黄色人種のおよそ4割ではこの酵素の活性が低く、活性がない人も約5%。

酵素活性をもたないグループは、お酒がまったく飲めない体質のいわゆる下戸。活性が低いグループは、まずまず飲める人からほとんど飲めない方までいろいろです。

ただし、飲酒習慣があると関連酵素が誘導されて、アルコール分解能が高まるともいわれています。毎日飲んでいたらお酒に強くなった、というのはこうした理由です。


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■アルコール依存症になるのは飲める人たち

お酒は身近な飲みものですが、アルコールには依存性があります。お酒がまったく飲めない人は、飲むと具合が悪くなるので依存症にはなりません

お酒に強い人や、まずまず飲めてしまう方が危険だといえます。ほろ酔い程度のアルコールはからだによいとされますが、ストレス解消のはけ口として利用しすぎると常習化し、健康を損ねる結果につながります。


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■ヘビーな飲酒習慣で肝臓はどうなる?

過剰な飲酒を長期間続けると肝臓に負担がかかり、約8割の人がアルコール性脂肪肝になります。この段階では、禁酒あるいは節酒により健康な肝臓を取り戻すことが十分可能です。

飲酒習慣を見直さなかったとすると、アルコール性肝炎や肝線維症、ひいては肝硬変と呼ばれる後戻りのできない状態へ至ることがあります。

ここまでくると肝臓の機能はすでに破綻目前です。飲酒をさらに継続すると、まもなく機能が著しく損なわれ(肝不全)、生命の維持が困難になります。

肝硬変で問題になる合併症としては、食道静脈瘤破裂による吐血や、腹水、意識障害などがあります。

また、アルコールへの感受性は、分解酵素の活性のほか、性別にも影響されることがわかっています。女性では、エストロゲンがアルコールの分解を抑制するので、男性の6割程度の飲酒量で肝障害を起こすとされています。


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■まとめ

長期間の過剰な飲酒とは、5年以上にわたる1日平均60 g以上の純アルコール摂取を意味します。

ビールでいえば500 ml缶を3本以上なので、多くの人は大丈夫そうに思うかもしれませんが、お酒に弱い人や女性ではもっと少ない量で肝障害が起こりえます。

アルコール性肝障害になると禁酒が原則ですので、お酒を長く楽しむためにも、1回の飲酒量をコントロールするのはもちろん意図的に休肝日を設けるなどして、健康な肝臓を維持しましょう。

(文/しらべぇ編集部・青木マダガスカル
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調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo

調査期間:2015年11月20日~2015年11月24日
対象:全国20代~60代の男女1,371名 

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