『アカデミー賞』は人種差別?過去の受賞者を徹底調査

2016/02/26 11:00

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世界最大の映画の祭典「アカデミー賞授賞式」が今月29日(現地時間28日)に行われる。

今回のアカデミー賞は、意外なところで注目を集めてきた。それは、授賞式の目玉である主演助演賞の男女すべてのノミネートが白人だったことだ。

アフリカ系黒人の俳優も多く存在するアメリカ映画界で、白人俳優しかノミネートされないのはたしかに違和感が残る。

一部では「ノミネートを決めるアカデミー会員のほとんどが白人だからでは?」という声もある本件について、しらべぇ編集部は歴代受賞者全員の「国籍」と「黒人の占める割合」を調査した。


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■主演男優賞

1928年第1回主演男優賞を受賞したのは意外にもアメリカ人ではなくドイツ人で、エモール・ヤニングス(『肉体の道』)。

第6回のポール・ルーカスはハンガリー、ホセ・フェラー(『シラノ・ド・ベルジュラック』)はプエルトリコ国籍であのジョージ・クルーニーの親戚で義叔父にあたる。

パイレーツ・オブ・カリビアンのバルボッサ役でも有名なジェフリー・ラッシュ(『シャイン』)はオーストラリア

「オーストラリア最大の輸出物」と言われ同国の切手にも描かれたことのあるラッセル・クロウ(『グラディエーター』)はなぜかニュージーランド国籍

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ジャン・デュジャルダン(『アーティスト』)はフランス、これまで最多の3度受賞を果たしているダニエル・デイ・ルイス(『マイ・レフトフット』等)はイングランド出身のイギリス国籍…と、意外にも外国籍の俳優の受賞は少なくない。

一方、黒人のほうはと言うと、これまで黒人受賞者はシドニー・ポワチエ(『野のユリ』)、デイゼル・ワシントン(『トレーニング・デイ』)とジェイミー・フォックス(『レイ)フォレスト・ウィテカー(『ラストキング・オブ・スコットランド』)の4人である。

ちなみに今年ノミネートされているのは、2年連続受賞がかかっているエディ・レッドメイン(『博士と彼女のセオリー』)で、イギリス国籍。

マイケル・ファスベンダーはドイツ・アイルランド・イギリスの三重国籍。上記の受賞者以外はアメリカ人である。


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■主演女優賞

第1回受賞のジャネット・ゲイナー(『第七天国』他3作品)はアメリカ国籍だが、2回から4回までの受賞者は加えてカナダ国籍も持っていた。

第9回のルイーゼ・ライナーはアメリカとドイツの二重国籍を持つユダヤ人だったという。

第14回のジョーン・フォンテインと第19回22回のオリヴィア・デ・ハヴィランドはイギリスとアメリカの二重国籍だが、なんと出身は東京都港区

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アフリカ系アメリカ人で初めての女優賞受賞は第74回のハル・ベリー(『チョコレート』)。

ナタリー・ポートマン(『ブラックスワン』)はアメリカとスラエル国籍を持ち、トム・クルーズの元妻のニコール・キッドマン(『めぐりあう時間たち』)はオーストラリア。

前回受賞のジュリアン・ムーア(『アリスのままで』)はアメリカだ。

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■助演男優賞

第21回のカナダ人ウォルター・ヒュースタン以降、じつに58年間アメリカ人もしくはイギリス人の受賞が続く。アメリカの映画賞とはいえ、人種のサラダボウルと言われる国にしては、独占と思えなくもない結果かもしれない。

そんな状況を破ったのはスペインのハビエル・バルデム(『ノーカントリー』)だ。

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逆にそのあとはオーストラリアのヒース・レジャー(『ダークナイト』)、オーストリアとドイツ国籍のクリストフ・ヴァルツ(『イングロリアル・バスターズ』)、イギリス人のクリスチャン・ベール(『ザ・ファイター』)、カナダのクリストファー・プラマー(『人生はビギナーズ』)と海外勢の受賞が相次いだ。

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中国系カンボジア人のハイン・S・ニョール(『キリング・フィールド』)は元軍医であったが政府を逃れて難民としてアメリカに移り協力した映画製作に自らも出演。

当時の国籍はアメリカであったものの、元アジア人として初めての受賞となった。


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■助演女優賞

第1回受賞はゲイル・ソンダガードアメリカ人以外の初めての受賞はギリシャのカティーナ・パクシヌー(『誰が為に鐘は鳴る』)。1957年の第30回にはミヨシ・ウメキ(『サヨナラ』)で初の日本人が受賞している。

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『ウエスト・サイド物語』のリタ・モレノはプエルトリコ国籍。

過去19回のノミネート記録を持つメリル・ストリープ(『クレイマー、クレイマー』)やアンジェリーナ・ジョリー(『17歳のカルテ』)はアメリカ人だ。

メキシコとケニアの国籍を持つルピタ・ニョンゴ(『それでも夜は明ける』)は受賞直後、瞳に涙を浮かべながら「どこの出身であっても夢は叶うものです」とスピーチしている。

どの部門も受賞者は圧倒的にアメリカ人、ちらほらイギリス人といった印象だ。

長い歴史の中で人種差別への対抗のため受賞を辞退した白人もいれば、受賞と肌の色は関係ないと身を持って証明した黒人も。今年のオスカーは誰が手にするのか、全世界から視線が集まる。

(取材・文/しらべえ編集部・大久保彩乃

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