大阪グルメ「シチューうどん」のシチューじゃないっぷりが凄い
2016/03/03 15:00
「シチュー」といえば、ホワイトソースでとろりと煮こまれたクリーム色なのが一般的。しかし大阪にはそんな概念を覆す、皿の底まで透けてのぞきこめる「透明シチュー」があるらしい。
しかも、そのシチューには、うどんが入っているという。一体どういうことなのか?
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■堂々と「特製シチュー」の謎めいた看板
しらべぇ取材班が訪れたのは、大阪・天神橋筋六丁目にある『かね又』。
看板には大きく「特製シチュー」と書かれている。しかし、洋食屋のような「クリーム系のソース」の匂いはゼロ。
しかも外観は和テイストのうえに、側面の看板には「うどん」の文字も。シチューとうどん、どちらなのだろうか…。
暖簾をくぐるとラーメン屋のようなカウンターがあり、食堂という感じ。
「特製シチューうどん」(500円/税込み)をオーダー。
運ばれてきたそれは、どこからどうみても透明である。
まるで「カレーのルーを入れる前のほぼ無味な状態」を連想して、あまりそそられない見た目。 だが、汁をすすった瞬間、衝撃が走る。
タマネギの優しい甘みと、牛肉の旨みがギッシリと汁に反映されており、ふつうの和風うどんとは異なる非常に複雑かつ上品な旨みが湧き出ているのだ。
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■味付けが究極にシンプル
店主に、どんな味付けをしているのか質問。
「塩だね」
―え? 他にはどんな味付けを…?
「味付けはね、塩だけ」
まさかの調味料1種!
具材であるザク切りタマネギと牛肉を口に運ぶ。噛んだ瞬間、ジュワッと甘みが出てきて口のなかでとろける。
ふんわりと柔らかく、すいとんのような感じ。汁としっかり絡まり塩気をふくんだ麺は、ツヤツヤと輝いている。
正直「シチューを食べた感」はないが「シチューうどん」というインパクトあるネーミングになぜか納得してしまう。
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■卵焼きはカンペキなおふくろの味
こちらのお店では、卵焼き(300円/税込)も美味。注文してから、手早い手つきでサッと焼いてくれる。表面はカリッとしているが、箸を通すとなかはトロッ。
ざく切りネギだけのごくシンプルな具で作られているのに、食べごたえバツグンだ。
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■戦後の食糧難から生まれた「シチュー」
お店の人に聞いたところ、「シチューうどん」は戦後まもなく生まれた人気メニューだという。織田作之助の『アド・バルーン』という物語のなかに、ここのシチューが出てくるそうだ。
食糧難の時代、塩のみで味付けされたこのメニューを、誰かが「シチュー」だと言ったところから受け継がれ、その味が今日まで残っているという。
この「シチュー」に夢中になり、北海道や九州からはるばるやってくる人もいるとのこと。
【かね又】
住所 大阪市北区黒崎町12-15
営業時間 9:00~18:00
(取材・文/しらべぇ編集部・大木亜希子)