奈良の鹿はじつは茨城がルーツ?春日の神様はこんな人

2016/03/20 09:00

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奈良公園といえば鹿。我が物顔で歩き回り、観光客に鹿せんべいをねだる彼らは、奈良の名物として、外国人にも人気だ。

「しかしなぜ、あれほど多くの鹿が集まったのだろう?」と思う人も少なくないに違いない。じつは、その鹿が「もともと茨城県から来た」という話があることをご存じだろうか?


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■春日明神とは?

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奈良に伝わる昔話を集めた『大和の伝説』(高田十郎編)によれば、「昔、春日明神が鹿島から移ってこられる時に、鹿をつれて来られた」とある。

春日明神とは、春日大社に祭られている建御雷命(たけみかづちのみこと)のこと。鹿島神宮のご祭神でもあり、地震を起こすナマズを抑えているとも伝えられる、力持ちの神様だ。

現在は鹿がいないのに「鹿島」という地名は変だが、神様の時代にはたくさんの鹿がいたのだろう。そしてその中の数匹が、奈良にいる鹿たちの先祖となったわけだ。


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■鹿島明神はずるい性格?

しかし、『大和の伝説』には、気になる昔話も記録されている。春日明神が、春日の野山をだまし取ったという話だ。

昔話によれば、春日の山の最初の主は、耳が不自由だったという。だから、春日明神が鹿島からやってきて、「この山を1メートルほどくれないか?」と言われたとき、深く追及せずに、快く了承した。

しかし、それを聞いた春日明神は、「ありがとう。それでは春日の野山全体を地下1メートルまでもらいましょう」と、野山をすべて奪い取り、春日の元の主を追い出してしまったという。

つまり、1メートルというのは面積1平方メートルではなく、すべての面積の地下1メートルまでだったとうそぶいたわけだ。神様のくせに、なんたる詭弁だろう。


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■春日の元の主はどこにいる?

それでは追い出された春日の主はどこにいったのだろう? 春日の野山から追い出されたあとは各地を転々としたらしいが、現在は摂社の「榎本神社」にいるらしい。春日大社に参拝の際は、忘れずお参りしておきたい。

ちなみに、耳の不自由な神様なので、昔の人たちは、祠の柱をトントンとたたき、「お参りに来ました」と合図したらしい。

現代では神社の柱をたたくと叱られそうだから、柏手を打つ際は、大きな音を立てるようにしてみてはいかがだろう。

(取材・文/しらべぇ編集部・上江洲規子

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