NHK『バラエティー生活笑百科』から見るテクノロジーの進化

公共放送の長寿番組で取り上げられたというのは、非常に大きな意義を含んでいるのだ。

2016/03/30 05:30

NHK放送センター

NHK大阪支局が制作する『バラエティー生活笑百科』は、放映開始から30年以上続く長寿番組。

この番組はご存知の通り、普段は知り得ないが困った時に知っておきたい法律の知識を紹介するというもの。具体的には遺産相続や離婚の際の慰謝料、物損賠償、借金返済などの話を主に取り扱う。

だがその『生活笑百科』に、ここのところ大きな変化が訪れている。3月19日放送分の内容は、今まで紹介していた事例とはかなり異なる趣きのものだった。



 

①ドローンで夜桜撮影

この日放送された『生活笑百科』の最初の相談は、ドローンに関する問題である。

写真撮影が趣味のとある男性は、山里にある夜桜を上空撮影するためにドローンを購入した。その山里は人の往来がほとんどない、いわゆる「穴場スポット」である。もしドローンが落下しても、人的被害が及ぶことは考えづらい。

こうした場所にドローンを飛ばしても、法的に支障はないのか?

近年、メディアの話題に度々上げられているドローン。去年は航空法が改正され、ドローンも法の枠組みに入れられた。その中で小型無線機は人口密集地や重要施設上空の飛行、そして夜間飛行などが規制された。

すなわち、夜桜の上空撮影は国土交通省の許可なしに行えないのだ。


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②コピーデータの売買

次の相談は、デジタルデータに関するものだ。映画俳優ファンのとある女性は、雑誌の切り抜きやブロマイドなどをコレクションしている。それらをスキャンし、データとして永久保存した。

その話を友人にすると、「手間賃を払うからデータを分けてほしい」という申し出があった。この行為は問題ないのか?

結論を言えば、これも違法である。どのような名目であれ、著作権保有者の許可なしにコピーした版権物を売買してはいけない。

誰しもがモバイル機器を手にしている現代、こうしたことは日本はおろか世界各地で問題視されている。本人たちは至って軽い気持ちでやっているのかもしれないが、版権元にとっては死活問題となり得る行為なのだ。


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■法律も進化する

これらの事例が紹介された放送回は、現代のテクノロジーの発展を示すもの。たとえば、「上空100メートルから自宅を空撮する」などということは数年前までは専門業者にしかできなかった。それが今や、一個人でも気軽に行えるようになっている。

だが一方で、危険かつ無責任な飛行が多方面に被害を与えるという事態にも。デジタルデータにおいても、版権元の管理下にないコピー製品が、いつの間にかあちこちに拡散してしまうということが頻発。

技術の革新には必ず問題点が付きまとうが、それを是正するのが法律の役割である。そういうことが公共放送の長寿番組で取り上げられたというのは、非常に大きな意義を含んでいるのだ。

(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部

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