女性アイドル刺傷事件 ストーカー被害に悩む人に弁護士が提言

(画像はYoutubeのスクリーンショット)
(画像はYoutubeのスクリーンショット)

レイ法律事務所、弁護士の河西邦剛です。先日、アイドルの女性が男性ファンに刺されるという大変痛ましい事件がありました。

被害者の女性がどれだけ不安な思いをしていたか、どれだけ怖い思いをしたか、そしてどれだけ辛い思いをしているか想像するだけで胸が痛みます。彼女には夢があってアイドルを目指し、少しずつ叶え、そしてこれからも実現したい夢が沢山あったはずでしょう。

犯人の男性はなぜ人の心を想像しようとしないのか。自分のしたことで、どれだけの人が悲しむかわからないのでしょうか。私は弁護士である以上、加害者側の弁護を担当することもありますが、今回の犯人を許すことはできません。


■なぜ警察は動かない? 民事不介入の原則

芸能トラブルを得意としている以上、私自身、タレントからストーカー被害について相談を受けることが少なからずあります。

その際、私たちは警察等の協力を求めながら、タレントの身を現実に守る方法を模索していきます。ですが、やはり時に警察も動けないことがあるのは事実です。

「民事不介入という原則があるので、警察は関与できません」


「被害者のほうで証拠を集めてきたら、捜査が始められるのですが…」


警察は公的機関である以上、さまざまな制約があることも事実。決して職務怠慢というわけではなく、警察官は親身に話を聞いてくださる方がほとんどです。

ただ、警察には組織内のルールがある以上、民事不介入の原則を無視できなかったり、証拠が弱いと事件として取扱えないのも現実なのです。

私自身、これまでもストーカー被害を受けたタレントから相談を受け被害届を提出しようとしたときに、警察が受理してくれず怒りを覚えたこともあります。

ただ、まさに今、被害者から相談を受けている弁護士としては、捜査機関が動いてくれないのであれば公的機関の力を借りずに、被害者の身を守る手段を考えるしかないのです。


■弁護士に相談を

公的機関が動けないときに、私的な立場で力になれるのが弁護士です

たとえば、警察に被害申告に行くにしても、私たち弁護士が同伴し、法と証拠に基づき事実関係を整理したうえで、改めて被害届を提出すると受理してくれることもあります。

また、東京弁護士会が運営している「民事介入暴力被害者救済センター」に相談するように促すことも。緊急性が高いときには、事務所内にタレントの身を一時的にかくまったこともあります。

もし、同じように執拗なファンからの要求に恐怖を感じている方がいたら、身近な弁護士に相談してみてください。仮に「お金にならない事件だな~」と判断されても、弁護士という人間は職業魂に熱い人が少なくありません。

実際に相談を受けると職業魂に火が付き『なんとかしなきゃ』と思うものです。仮に1人目の弁護士がだめでも、何人かの弁護士に相談してみてください。上記センターにも相談してみてください。そうすれば、真摯に耳を傾ける弁護士に出会えるはずです。

ひとりで不安を抱えこまないこと。自分の身を守ることを諦めないこと。警察が動いてもらえないときは弁護士に相談すること。二度とこのような悲惨な事件が起きないことを切に願います。

・合わせて読みたい→アイドル刺傷事件 元アイドルが実体験から語るファンとの危うさ

(文/しらべぇ編集部・河西邦剛

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