東京のタクシー、短距離の初乗り値下げへ 乗車拒否増の懸念も

2016/06/09 11:00

タクシー乗り場
©写真AC

東京都23区内と武蔵野市・三鷹市の営業区域で、タクシーの初乗り運賃が約1キロ・410円程度になる見通しとなった。現在の初乗り料金は2キロで730円。早ければ年末にも料金改定となる。



 

■初乗り距離の見直しで

「短い距離でも気軽に乗ってもらえるように」と、初乗り運賃が適用される距離についても見直しを行う。現行の適用距離は2キロ。改定後は約1キロになりそう。悪天候時や荷物の多いときなどに、「ちょっとそこまで」といった需要にマッチした見直し内容といえそうだ。


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■子育て世代から歓迎の声

見直しが行われる地域では、マイカーの所有がコスト面で重荷になるケースがよくある。「初乗り」システムの見直しはおおむね歓迎されているようだ。

子ども連れの場合など、最寄り駅へ歩かずに済むなど重宝するのではないだろうか。


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■まさかの乗車拒否、懸念は?

一方、乗務員のほうには複雑なものがあるかもしれない。ターミナル駅などのタクシー乗り場では、多数のタクシーが客待ちをしている。30分や1時間待つことも、ざらではないという。

ときには、「ワンメーター」の利用客に対して「はずれを引いた」という気持ちになるのだろうか。乗車拒否を行うケースもままあるとされる。

一部の駅のように近距離利用者専用乗り場が設けられたタクシー乗り場でも、目的地が近すぎることを理由に乗車拒否された事例を聞く。初乗り運賃が安くなることで、状況の悪化を懸念する声もある。


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■現役乗務員に聞いてみた

タクシー

地元(島根県)のタクシー乗務員は、「初乗り」システムの変更が全国的に広まったとしても「この町では大きく変わらないだろう」と話す。

その上で、「初乗り料金や距離がどうであれ、頻繁にタクシーを利用する人は、自家用車を持つこととタクシーを利用することのコストを天秤にかけた結果、タクシーを利用している」と続け、「運賃がどうであれ、利用しない人にとって、今後もタクシーが『高い』乗り物であることには変わりない。公共交通が充実している首都圏ではなおさらだろう」と分析する。

「ワンメーター」の利用が増えそうなことについては、「遊んでるよりいい。サービス業である以上、お客様のえり好みはするべきではない」 と明確だった。

国内に24万台(2013年3月「国土交通省」調べ)以上が走るタクシー乗務員の大半が、同じ思いでハンドルを握っていると願いたい。

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(取材・文/しらべぇ編集部・上泉純

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