「最強の喧嘩屋」キンボ・スライス急逝 死因に様々な噂が

2016/06/10 05:30



画像はキンボ・スライス公式サイトのスクリーンショット
画像はキンボ・スライス公式サイトのスクリーンショット

総合格闘家のキンボ・スライスが亡くなった。

この人物は、古式ボクシングによるストリートファイトの動画をネット配信し、一躍有名に。ある時は駐車場、またある時はマリーナ、そしてまたある時は民家の庭先と、場所を変えながらストリートファイトの試合をこなした。

しかもそのほとんどは、キンボのKO勝利。眉をしかめる者も少なくないが、それでもネット世界はキンボの「活躍」に熱狂した。そんなキンボが、42歳という若さでこの世を去ったのだ。



■キンボの優れた才能

キンボはパワー一辺倒の選手に見えるが、じっくり観察してみると格闘家として非常に優れた才能を持っていることが分かる。

キンボのパンチは「当て勘」に極めて恵まれている。これは相手の動きや隙を瞬時に予測する能力だが、キンボの大振りパンチにはこれが付加されていた。だから、命中率が非常に高い。

代わりに、寝技の展開になると動きが鈍重になり不利なポジションを取られやすいのが欠点。だがパンチ勝負での比類なき強さが、それを補っていたことは事実だ。

人生最後の試合は今年2月、総合格闘技団体『ベラトール』の大会。この試合は両者完全にスタミナを使い果たした状態だったが、その中でキンボはパンチを繰り出し見事なKO勝利を収めた


関連記事:「史上最強の男」モハメド・アリ、死去 偉大な足跡を振り返る

■付きまとう薬物の影

だが、2月の試合結果は現在「ノーコンテスト」になっている。キンボから禁止薬物の陽性反応が出たからだ。

総合格闘家の筋肉増強剤投与の話は、決して珍しくない。世界で最も影響力のある総合格闘技団体『UFC』でも、契約選手の検体から陽性反応が相次いで出たこともある。

残念ながら、総合格闘技界はそういう面で他競技よりも遅れている。今やボディビルですら禁止薬物検査を徹底していて、選手への啓蒙活動も盛んだ。ところがアメリカの総合格闘技の世界では、まだまだ不十分。

そしてキンボの死因は、薬物の過剰摂取によるものではないかという噂も出ている。


関連記事:自分の身は自分で守る!アジアで急増の「格闘技女子」

■死因はやはり…

キンボの死因は、6月8日の時点ではまだ公表されていない。フロリダ州の地方紙が「心臓麻痺」と伝えているが、問題は「なぜ心臓麻痺を起こしたのか」だ。それ故、様々な憶測を呼んでいる。

キンボの死が筋肉増強剤の摂取によるものだとしても、それは不思議ではない。1990年代のボディビルダーがそうであったように、筋肉増強剤は内蔵に大きなダメージを及ぼすからだ。

冷戦時代、旧東ドイツはオリンピック出場候補の選手たちにドーピングを施していた。そのため、旧東ドイツのフィジカルエリートで若くして亡くなった人物は多く存在する。

キンボもそうだった、とは断言できない。だが、そのような疑惑が生じる理由もそこにある。

・合わせて読みたい→「史上最強の男」モハメド・アリ、死去 偉大な足跡を振り返る

(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一

薬物取材総合格闘技死因
シェア ツイート 送る アプリで読む

編集部おすすめ


人気記事ランキング