米で50人死亡の乱射テロ 銃を手放せないフロリダの事情

2016/06/13 17:30

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※画像はYouTubeのスクリーンショット

アメリカ・フロリダ州オーランド。ここはディズニーリゾートやユニバーサルリゾートなどのエンターテイメント施設が置かれる、アメリカ有数の観光都市だ。

目と鼻の先のメリット島にはケネディ宇宙センターもあり、これらを訪れる観光客は後を絶たない。

そんな賑やかな街で、アメリカ史上最悪の乱射テロ事件が発生。同性愛者の集まるナイトクラブで男が銃を発砲し、じつに50人が犠牲となった。アメリカは今、衝撃の只中にいる。



 

■フロリダはまるでバイオハザード!?

オーランドといえば、先日も女性歌手のコンサートで銃撃事件があったばかり。

日本でもアイドルがファンの男に刺される事件があったが、アメリカでは常に銃の危険と向き合わなければならない。被害者の女性歌手は、ファンにサインをしている最中に銃撃され、死亡。

フロリダ州では、こうしたことがしばしば発生する。アメリカ南部州は銃規制が緩いとされているが、その中でもフロリダとテキサスは「バイオハザード」や「西部劇」と皮肉を言われるほどの銃社会だ。


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■アメリカ連合の記憶

しらべぇで先日配信したトレイボン・マーティン射殺の銃をオークション出品という記事も、舞台はフロリダ。

この州にいくつも存在する武装自警団のメンバーが黒人少年を射殺した、というのがトレイボン・マーティン事件と呼ばれる一連の騒動である。

フロリダもテキサスも、19世紀中頃は「アメリカ連合」の一員。貿易政策の意見の対立により南部州がアメリカ合衆国を離脱し、独自の国家として成立した時期がある。そしてアメリカ連合は合衆国と戦争を始めた。これが南北戦争だ。

結果的にアメリカ連合は敗北を喫したが、その怨念は今も残る。何しろ南部の人々は、今までアメリカをメキシコの魔の手から守ってきたという「自負」があるのだ。にもかかわらず、軟弱な北部の連中はそれをまったく理解していない…そう思っている。

名優ジョン・ウェイン主演の『アラモ』という映画があるが、これはまさに「悪いメキシコからアメリカを防衛する」という内容。南部の人々の考えを具現化したような作品だ。

だからこそ、南部の市民は絶対に銃を手放さない


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■沈黙の全米ライフル協会

今回の乱射事件について、アメリカ最大の圧力団体全米ライフル協会はどのような声明を出しているのだろう?

じつは、まったくアクションがないのだ。アメリカ東部時間12日12時30分の時点で、全米ライフル協会はFacebookにもTwitterにも事件に触れる投稿を出していない。

だが、それも当然だ。今ここで何かしらの投稿を行ったら、炎上は必至。

そして、これを機に議論が再び活発化するだろう。それは、「あの時誰かが銃を持っていれば被害は防げたか否か」というものである。

全米ライフル協会の公式見解によると、乱射事件で多くの死傷者が出るのは「被害者が反撃できなかった」からで、だからこそ「正義の銃が必要」なのだ。

犯人の男は、ISとつながりがあったと言われ、IS系のサイトが犯行声明を発表した。

だがテロリストでも、何もない空間から銃を作ることはできない。銃規制の徹底されている国はカウンターテロリズムも容易であることは、先日我が国が伊勢志摩サミットで証明したばかり。

アメリカはもはや、国にとって最も大切な要素である「市民の安全」を維持するのも困難の様子だ。

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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一

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