相模原の大量殺傷事件 障害者が世間の反応に違和感と怒り
相模原市の障害者施設で19人を殺害した痛ましい事件が起き、世間を騒がせている。
犯人の蛮行は大きな衝撃として社会に影響を与えたように感じるが、とある身体障害者の30代男性は「今回の件について世間の反応に違和感を覚えている」と漏らした。しらべぇ取材班は彼が持つ違和感の正体について詳しく話を聞いた。
■当事者意識が欠けている人が多い
身体障害がある30代男性「今回の事件では人間が殺されたのではなく、障害者が殺されたように感じている人が多いのではないでしょうか。だから、事件に対して怒る人が少ないように感じます。
犯人の『障害者は死んだ方がいい』といった差別的発言に対して怒る人たちはよく見ます。でも今まで大量殺人事件が起きれば、明日は我が身と当事者意識を持つものですが、今回に関しては抜け落ちているような。
世間一般の反応としては『障害者は役立たずだけど殺しちゃダメ』みたいな風潮を感じる。でも、そうじゃなくて『人間だから殺しちゃダメ』っていう当たり前の怒りが今回は少ないんです。
不謹慎かもしれないけど、自分が巻き込まれなくてよかったと安堵をしている人も全く見かけないんですよ。まるで自分とは全く関係ない世界の話のように見ている人が多いように感じます。
犯人の動機の根底にある『障害者は人間ではない』というメッセージは、実は障害のない人たちの心の奥底に眠っている感情なのかもしれません。障害があってもなくても人間なんだということを、もっと考えてほしいと思っています」
確かに今回の事件に関する世間の反応は、殺人者への怒りよりも、介護制度への影響を心配する声が多いと感じる。
今一度、大量殺人犯による犯行であったと認識しなおす必要があるだろう。突発的犯行を完全に防ぐことは難しい。それでも二度と、このような事件が起きないことを祈るばかりである。
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(取材・文/しらべぇ編集部・モトタキ)