NHKの「超貧困JKやらせ疑惑」はなぜ起きたのか? TV関係者に聞いた

公共放送・マスメディアの取材や検証の体制は厳しく問われる。

2016/08/20 17:00

NHK

NHKニュースが8月18日に報道した「貧困女子高生」が、「じつは『貧困』ではないのではないか」という疑惑が拡がっている。

女子高生本人とされるツイッターアカウントは、現在は閲覧することができないが、このユーザーによるツイートでは、

・パソコンを購入できず1000円のキーボードだけを買って授業の練習をしたはずの彼女が、『ONE PIECE』の映画を複数回見に行っている


・『ONE PIECE』グッズを10点以上大人買いしたり、お台場にある高額なコラボレストランにも訪れている


といった事実が指摘されている。また、彼女の同級生と主張するアカウントからも告発の声が上がった。



 

■テレビ業界関係者に聞いた

事実の検証や放送に至った経緯は、NHKによる発表を待ちたい。しかし、公共放送のニュース番組であっても、なぜこうした「疑惑の報道」が起きてしまうのか。

NHKの番組も制作しているTVディレクターに話を聞いた。

ディレクター:元々のネタそのものが、NHKのニュース的ではなく、そもそも違和感がありました。ちょっと前の民放のマネみたいで。


「テーマが先にありき」で取材・制作が進んだのかもしれません。責任者にこうした進行を指示された場合、番組の制作スケジュールは本当に酷です。


関連記事:NHKが報じた「超貧困JK」豪遊疑惑 ワンピースコラボレストランの常連か

 

■出演者の「自己演出」に騙された?

ディレクター:今回の場合、番組サイドが意図的に「やらせ」をした以外に、女子高生の自己演出にディレクターが騙された可能性もあります。


そのため、こうしたテーマでは、友人や親、教師など周囲の取材をきちんとできる時間が必要。


また、複数スタッフの目で取材すると、誰かが「怪しい」と思った意見をそのまま言えるフリーな空気が生まれやすくなります。


いずれにせよ今の時代は、SNSでこうした情報が発覚するリスクまで含めて、取材と検証を慎重に行なう必要があるでしょう。


やらせの可能性だけでなく、「取材班が騙された」という可能性もある今回の案件。どちらの場合であっても、公共放送・マスメディアの取材や検証の体制は厳しく問われる。

(取材・文/しらべぇ編集部・盛山 盛夫

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