「近代戦の目覚め」戊辰戦争 あなたはどちらに味方する?

2016/09/07 05:30

mj0007/iStock/Thinkstock
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「天下分け目の戦い」と聞いたら、大抵の人は関ヶ原の合戦を連想するだろう。

だが、1868年に勃発した戊辰戦争も忘れてはいけない。

この戦争は、数年前までアメリカで行われていた南北戦争の焼き直しのような出来事だった。南北戦争時に大量に生産された武器が余剰ストックとなり、それが日本に輸出されたのだ。だから使用火器もほとんど同じだし、戦法も非常に似通っている。

そして戊辰戦争が、列島を分断したというのも事実だ。西の新政府軍と東の幕府軍。まさに天下分け目の決戦だった。


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■東北では案の定…

ここで、現代人に聞いてみよう。「戊辰戦争が始まったら、どちらの勢力に味方するか?」という内容である。

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じつに60.5%の人が「新政府軍につく」と答えている。ちょうど6対4の割合だ。だがこの調査もまた、地域差がある。

次に、東北在住者に絞った調査結果を見てみよう。

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やはり奥羽越列藩同盟のお膝元。54.4%の人が幕府軍支持という結果になった。


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■兵器市場が戦場を左右する

戊辰戦争とアメリカ南北戦争の類似性は先述の通りだが、戊辰戦争は「兵器市場」の存在を明確にした出来事でもある。

江戸時代を通じて、日本は兵器の進化を放棄していた。火縄銃は的撃ちの競技銃と化し、「兵器」としては使い物にならない。だから幕末に入る頃、火縄銃の後継として管打式のゲベール銃を導入。これは火縄銃と同じく先込め式の滑腔銃だが、撃発機構が進化している。

ところが黒船がやって来たころ外国は、すでにライフル銃の時代だった。弾丸は球形ではなく椎の実型で、銃身内部で回転が加えられて飛距離が増す構造。南北戦争で主に使用されたエンフィールド銃は、戦後大量の在庫となってしまい、日本や中国へ売り飛ばされた。

すると日本国内の兵器市場に変化が出る。ゲベール銃の値段が暴落し始めたのだ。さらに元込め単発式のスナイドル銃、そしてNHK大河ドラマ『八重の桜』で有名になった連発式スペンサー銃が導入されると、ゲベール銃は非常にチープな武器と化した。


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■八重とスペンサー銃

要するに、日本人はこの時初めて「武器の性能差」を知ったのだ。

そしてそれが、戊辰戦争の勝敗に直結することになる。

ここで、なぜ女性である新島八重が最新鋭のスペンサー銃を持ったか考えてみよう。「あの銃は兄の山本覚馬から送られたもの」という事実は、答えになっていない。彼女だけが最新の装備で身を固めることを、他の会津藩士(とくに上級武士)は苦々しく思わなかったのか疑問が浮かぶだろう。

意外だが、位の高い武士ほど「銃は卑しい武器」と考えており、八重のことなど気にかけなかったという。銃は足軽が持つものであり、武士は槍と刀を持って勇ましく敵陣に突撃する。だから会津藩の郷土防衛組織である婦女隊も、銃ではなく薙刀を選ぶ。

誇り高い武士は「武器の性能差」など考えてはいけなかったのだ。だが、結局は「銃を持った足軽」が「剛槍の武士」を駆逐した。こうして日本は、過酷な近代戦争の基本を学んだのである。

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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一
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