新聞に「マナー違反の学生を蹴飛ばした」と投稿→炎上騒ぎへ

2016/10/11 05:30

Milatas/iStock/Thinkstock
Milatas/iStock/Thinkstock

読売新聞の相談コーナー『人生案内』が話題を呼んでいる。それは、このような投稿があったからだ。

以下、読売新聞10月8日付朝刊の人生案内からの要約である。

相談者は60代前半のとある会社員男性。この人物は「正直者が馬鹿を見る世は許さない」という信条を持っている。ある日宴会の帰りに電車に乗ったら、足を投げ出して座っている学生に出くわした。相談者は飲酒をしていたこともあり、その学生を蹴り飛ばしたという。

当然、そこで騒ぎになる。そのことを受け相談者は、「今は、注意した方が危ない目に遭う時代」とつなげ、「悲憤に堪えません」と締めくくった。

これに対し、ネットユーザーから非難が巻き起こっている。



 

■明確な暴力行為

つまるところ、相談者は酔っ払った状態で他人に手を上げたにもかかわらず、それをまったく反省しないどころか「正義は自分にある」と主張しているのだ。

Twitterでは、この記事の写真を添付したつぶやきが大量リツイートされている。他のユーザーの反応は、

というように、いずれも「相談者のほうが非常識」とする内容である。


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■「説教する酔っ払い」は大迷惑

そもそも、「酔った状態で他人に説教をする」のは社会で最も嫌われる行為ではないのか。

酒はその人の中身を暴露してしまう。日本人には「無礼講」という概念があり、酒が入れば行きすぎた行為に及ぶのは仕方がないとどこかで考えている。このあたりは、「日本人の酒癖の悪さ」として16世紀の宣教師ルイス・フロイスも指摘している。

欧米社会では「自己責任・自己管理」の発想が定着しているため、「酔って暴れる」ということは許されない。酒の量を調節できないということは、自己管理ができないのと一緒だ。


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■宗教戦争の根源

また、そうした己の行為を反省できない相談者の心理は、一体どこにあるのか。

この相談自体、もしかしたら相談者個人の「正義の誇示」ではないか。正義を無理やり遂行する人ほど、厄介なものは存在しない。その心理の最大単位が宗教戦争であり、特定コミュニティーの迫害である。

人間は一様ではない。そうした当たり前のことを意識し、なおかつ「他人を許す」という感情を常に持っていれば、赤の他人をいきなり蹴飛ばすという愚行には及ばないだろう。

人間は全知全能の神には決してなれない。そうである以上、他人を責める前に「自戒の念」を心に刻んでおくべきではないか。それでもなお相談者が「マナー違反の学生を蹴り飛ばした行為は正しい」とするのなら、もはやこれは新聞の人生相談コーナーで扱うべき内容ではない。

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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一

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