小4男子が『真田丸』の自由研究→NHKから大絶賛が

2016/10/14 10:00

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「歴史は暗記教科」という意識が、学校教員の間にもある。

だが、そういう発想でいる限りは「豊臣秀次の切腹はアクシデントだったかもしれない」、「石田三成は日本史上稀に見る秀才だった」ことが絶対に分からない。歴史とは、複雑な感情を持った者同士のぶつかり合い。そこには心理戦が発生する。真田昌幸は、強敵に心理戦を仕掛けることで戦国を生き残ろうとした。

だからこそ、歴史研究は大きな意味を成すのだ。



 

■軍師の素質あり!

これは、とあるTwitterユーザーの「教え子」の話である。

その子は小学4年生の男の子。大河ドラマ『真田丸』の大ファン。彼は夏休みの自由研究で、『真田の秘密』と題した資料を制作した。真田親子を様々な角度から研究したものだ。

「これは本当に小4の子が作ったのか?」とつぶやいてしまうほど、そのクオリティーは高い。2度発生した上田城攻防戦の経緯も、凸マークの布陣図付きで解説されている。彼が戦国の世に生まれていたら、間違いなく名将に成長しているだろう。

ところが、彼の所属する小学校は理系重視で、歴史を取り扱った資料は評価されなかった。そこで彼に「NHKにこの資料を送りなさい」とアドバイスしたところ、大河ドラマの制作セクションから返事が届いたという。

この感動的な経緯に、他のユーザーから絶賛の声が相次いでいる。


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■真田幸村は「運がわるい」

『真田の秘密』の内容を、もう少し詳しく見てみよう。

『ぼくが考えた3人の通知票』という項目があり、そこには真田昌幸・信之・幸村に対する男の子の評価が載っている。「武・智・忍・運・人」の計5つのバロメーターだ。

とくに気になるのは、幸村の「運」が100点満点中の10点にされていることだ。「けっこう運がわるい」というコメントもついている。

彼の言うとおり、幸村は真田家生き残りのために敢えてジョーカーを引かされた男。もし犬伏の別れがなく、家督を継いだ兄の下で安定的な地位を与えられていれば、史実以上の活躍ができたに違いない。


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■著述家の鏡

また、この『真田の秘密』は参考文献リストがちゃんとついている。画像ではやや分かりづらいが、13番目の項目のタイトルが『参考にした本』だ。出典を明確にすることは、著述家の義務。

近年、他のメディアの記事をそのまま転載するということが問題になっている。また、あくまでも他人に過ぎない人物の言論や仮説を自分のものにしてしまう行為も、残念ながら横行している。

そうした人々に、ぜひ見習っていただきたい姿勢である。


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■理数系こそ文系の研究を

この資料に関するユーザーの反応を見てみよう。

理数系の博士の中には、「理数系のことしか考慮しない」者もいる。「世の理は数学で動いている。そこに異論を挟むことは非科学的だ」という態度だ。

しかし、冒頭でも書いたように人間は複雑な感情を持つ。人は科学の方程式では起こり得ないことを、何が何でもやろうとする。それが人間たる所以であり、歴史とは「人間は何か」を教えてくれるデータベースなのだ。

理数系の学問を突き詰めるのなら、むしろ文系の学問研究も必要なのだ。そうしたことを、『真田の秘密』は我々に教えてくれた。

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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一

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