しくじる情報バラエティ番組 調査のプロ「リサーチャー」が減少中

エンタメ

2016/11/14 06:30

XiXinXing/iStock/Thinkstock
XiXinXing/iStock/Thinkstock

報道番組を名乗るアカウントから、TwitterやSNSユーザーに「ニュースで画像を使用したい」などの呼びかけを行い、炎上を招くケースが増えている。

特に情報バラエティと呼ばれる幅広いカテゴリを扱う番組では、そうした傾向が目立つようになった。

番組制作の裏側には多くの人が存在するが、そのひとつがリサーチャーだ。キー局でリサーチャーとして働くリコさん(仮名)が匿名を条件に、昨今の番組制作事情を語ってくれた。


 

■リサーチャーとは?

「リサーチャーは古くからある職種ではなく、以前は番組ディレクターや記者が特集の下調べや取材の一環として、調査や情報収集していた部分が分業になったものです。報道局や社会部・記者クラブなどに所属するのは稀で、情報・制作局や制作局といった部署の情報バラエティの『番組付きスタッフ』として、雇われるケースが多いですね」


しかしトラブルが増えているのは、その情報バラエティ番組だ。

「各局が番組制作予算の縮小で、リサーチャーを切るケースが増えています。某キー局なんかは、解雇や無理な条件を理由に辞任されたことで、今リサーチャー不在ですよ。そのため、勝手のわかってないADや制作会社の担当が、やらかしている噂を耳にする機会が増えました」


その一方で、あるTV局だけは事情が違うという。

「NHKは圧倒的ですね。全国に支局があるため地方の情報も集めやすい上に、アルバイトを含むリサーチャー要員が手厚くいます。調査には人手がないとどうにもならないこともあるので、正直うらやましいです(笑)」


昔は番号案内などを利用し、何軒も電話をかけて情報を集めるのがメインだったというが、ある地方の噂を集めるために活用していたのは、意外な場所。

「美容院に電話していましたね。そういうところに、噂は集まりますから(笑)」


こうした取材手法が、ネット社会やSNSの隆盛によって変化する。検索機能の活用など、以前よりラクに取材できそうだが、むしろそこに「しくじりのタネがある」とリコさんは言う。


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■ネット取材の落とし穴

「ネットで拾える情報は、真偽の不確かなものも多いですし、パクツイなどで情報源が特定しにくい。最近では報道関係者を騙すために、巧妙な『引っかけアカウント』を作ったり、コラ画像を掲載したりするユーザーも出てきました。


とはいえ、ある程度の手間をかければ防げる、一定のネットリテラシーや取材ノウハウさえあれば、避けられるレベルの“しくじり”が多すぎますよ」


一般企業では業務ノウハウを共有し、担当者が変わっても仕事の質を維持するためのナレッジ化が当たり前だが、そうしたことが機能しにくい背景もある。

「対面取材であれば嘘を見抜けても、ネットだと表情も見えず、平気で嘘をつけてしまう人も多い。そこを見抜くには、経験も必要です。それに改編などで番組が終わると、スタッフも入れ替わるため、ノウハウを引き継ぐ先がないのが現実ですね」


こうした状況でも、TV局側がリサーチャーをリストラする一方、今後は誤報や不祥事を恐れるフリーの看板キャスターや番組制作会社が、独自にリサーチャーを雇う動きもみられる。

情報番組という“情報”が主役のコンテンツには、やはり正しい情報を集めるプロであるリサーチャーの存在が必要といえそうだ。

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(取材・文/しらべぇ編集部・くはたみほ


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