美味しいけれどかなり辛いことも グルメライターの過酷

2016/11/21 06:30

(jesmo5/iStock/Thinkstock)
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世の中には「それでお金がもらえるなんて、うらやましいな」と思われる仕事がある。グルメライターという職業も、そのひとつだろう。

おいしいものを食べ、それを紹介する原稿を書き、お金がもらえる――文字通り「おいしい仕事」である。実際のところ、イメージするような“うらやましい”お仕事なのか取材した。



 

■体重コントロールとの闘い

取材に応じてくれたのは、大手グルメ媒体の編集者であるMさん。現在、仕事以外では、かなりストイックな生活を強いられているという。

「取材の時には当たり前ですけど、かなり食べなくてはなりません。この仕事を始めて1年くらいのタイミングでしたが、医者から『BMI値がギリギリです。このままだと、マズいことになりますよ』と。


仕事の現場で『食べない』という選択肢はないので、それ以外は食事を控えたり、走る習慣を作ったりしていますね。


太らない体質の人もいますが、健康の面で節制は不可欠な人がほとんどでしょうし、グルメライターはプライベートでもリサーチを兼ねて、新店や話題の店に行くことが多いので、むしろ『食に関する自由はない』って錯覚に陥ることがありますよ(苦笑)」

そうした健康上の理由で、グルメライターを辞める人は多く、Mさん自身も「この仕事、いくつまでやれるかな?」と考えることが多いそうだ。


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■食品アレルギーというロシアンルーレット

取材には何品もの料理が出される上、味わいを伝えるために食べるのは必須。しかも取材先との関係のため、なかなか残すことはできないという。

「カメラマン・ライター、編集の私の3人で行っても、取材で出されたものを食べきるのが大変なことも。お店の方に『こんなに残すの?』なんて言われた日には、完食しないわけにいかないですしね。


良いコンディションで取材するには、1日2軒まで。1軒あたりで食べる量が多いこともあり、3軒以上になると結構キツイです。


今は編集職なので、取材同行の数はある程度抑えめにできますけど、まだ駆け出しのライターであれば1日に5軒も6軒も取材に回らないといけなくなることもあります。そこまでいくと、ほとんどフードファイト状態ですよ」

しかし本当に大変なのは、量を食べることだけではないという。


「あるホテルのディナーフェアに関する試食会で、蕁麻疹が出たことがあって病院へ行きましたが、原因となった食材は判明しませんでした。食品アレルギーは種類が多くて、予め“何がダメなのか”全て確認することは難しいそうです。


自分の好き嫌いを言えないことは当然ですが、いつアレルギーを発症するか…という懸念はあります。さらに万が一、何かにあたったり、アレルギー反応が出たりしても、よほど重篤なことがない限り、取材先に言うことなんてできません。


そういう意味では、かなり『体を張った仕事』なんですけどね」


ここまでの話では、キツイことの方が多いようだが、いいことはないのだろうか?

「好きなジャンルや気に入っているお店がある場合、いち早く情報が入ってきますし、オープニングレセプションや新メニューの試食会に招待されることもあります。


でもそういう“役得”みたいに思えることって、仕事全体の10%もないんじゃないかなぁ…むしろ体力勝負な局面がほとんどなんで、グルメライターは肉体労働だ――って思っていますよ(笑)」


イメージとは違って「おいしいだけ」の仕事ではないもよう。

普通の人に、フードファイト並みの食事量をこなせるわけもなく、見知らぬ世界の仕事をうらやましがるよりも、自分のやっている仕事の良さを探してみるほうが楽しそうだ。

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(取材・文/しらべぇ編集部・くはたみほ

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