『飛田新地フィールドワーク』の問題点とは 「興味本位」以上に厄介

大阪『飛田新地』で人権団体が行なったフィールドワークが炎上しています。抗議の声をあげたひとり、SWASHメンバーの要友紀子さんに聞きました。

2016/12/02 06:00


飛田新地

 

■人権学習団体による「飛田新地フィールドワーク」

性産業で働く人々の健康と安全のために活動する団体、『SWASH』メンバーの要友紀子です。この記事を書くきっかけになったのは、11月23日に人権学習団体『じんけんスコラ』が開催した飛田新地フィールドワークの問題化。

詳細をFacebookに書いたところ、105件のシェア、Twitterでも571人にリツイートされ(11月29日現在)、ネットで炎上しました。このことを知った飛田で働く人たちやセックスワーカーの方々もSNSでクレームを発信し、じんけんスコラに批判が集中。

そして、研究者や書き手や作り手の間では、特定団体の不祥事問題に留まらず、当事者論や方法論についての議論へと発展していきました。それは、「もし自分の研究や取材や作品が、当事者から迷惑だと言われたらどうするか」というリアルな関心です。


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■何が問題なのか

今回の人権学習団体による飛田フィールドワークについて、私たちSWASHメンバーらが1年に渡り一貫して要請してきたことは、「働いている人たちが嫌な思いをするリスクを避けること」です。

「働いている人やお客さん以外が、興味本位や見物目的で飛田をうろちょろしたりじろじろ見ていたら迷惑がられることが多い」ということを、メンバーらが飛田の現場の方々などから異口同音に聞いたことがあり、もはや周知の事実でもありました。

もちろん飛田で働く人々すべての声を確認したわけではないので、どれくらい多くの人がそう思っているのかはデータで表せませんが、よく聞かれる事実であり暗黙の了解です。

ここで、押さえておいてもらいたい重要ポイントがあります。それは、「飛田で働く人々の中には、興味本位や見物目的で見に来る人を迷惑がる人がよくいるらしいから、飛田フィールドワークをしてはいけない」という短絡的解釈について。

この見解の立場に立つと、研究や学習のための飛田見学は倫理的にぜんぶ認められないのかという問題が生じます。

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■当事者への意思確認が必要だった
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