【真田丸】数万の軍勢すら敵わなかった「女たちの交渉能力」

2016/12/04 10:00

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(画像はNHK公式サイトのスクリーンショット)

戦国時代は、女性が権力を持っていた。

来年の大河ドラマ作品『おんな城主直虎』はまさにそうだし、『真田丸』を見ても女性が和平交渉の先頭に立っている。野戦は男がやり、城内の業務や戦後処理は女がやるという「分業」が成立していたのだ。

こんな国も珍しい。



 

■女狐・阿茶局

Twitterの真田丸クラスターの間では、阿茶局の「活躍」がしばしば話題になっている。

阿茶局を演じる斉藤由貴に引っかけて、劇中の彼女にヨーヨーを持たせているイラストも投下されているが、史実の阿茶局も相当強い女性だったはず。

ここで言う「強い」とは、当然ながら肉体的な強さではない。それよりも遥かに重要な、精神的強靭さである。

大坂冬の陣は徳川家康の策略から始まり、彼の策略で終わっている。方広寺鐘銘事件が発端となり、激戦の末に「大坂城外堀と真田丸を破却すれば問題ありません」と言ったのだ。もちろん、それらはすべて嘘かごまかし。阿茶局はそうした家康の意図をすべて理解した上で、彼の策略が万事上手く行くように働きかけた。

まさに「女狐」という単語がふさわしい人物である。


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■織田と武田の「女性格差」

だが、このような裏を含んだ仕事は男よりも女のほうが上手であったりもする。

そしてそうしたことは、織田信長も豊臣秀吉も理解していた。彼らに関わった女は、みんな一定の政治的権限を確保していた。だからこそ、彼女たちの名前がちゃんと記録にも残る。

それと真逆なのが、武田信玄だ。彼の場合は実母、正室、継室、側室を含めて女性たちの本名が未だ分かっていない。たとえば武田勝頼の母である「諏訪御料人」の本名は、あれだけドラマチックな人生を送ったにもかかわらず今も不明のまま。

小説を書く上ではそれでは困るので、新田次郎は「湖衣姫」、井上靖は「由布姫」と命名した。これらは史料に基づくことではない。

名が記録に残らないということは、その人物が何も権限を与えられていなかったという意味。武田支配下では、女性は低く見られていたのだ。ちなみに、もとは農民であった豊臣秀吉の母・大政所ですら、「なか」という本名が後世に伝わっている。


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■女が天下を平定した

勢力拡大に成功した戦国大名は、例外なく「女性の力」を認めている。

そもそも戦国時代の傾向として、「個人的武芸に優れた大名は滅亡する」がある。武田勝頼は何度も一騎打ちをやって勝ち抜いた男だし、六角義治は弓の名人だった。武者としては水準以上の能力を持っていたはずだが、彼らはいずれも織田信長の前に敗れ去っている。

では織田信長と、彼の弟子である豊臣秀吉・徳川家康が持っていたのは何か。「交渉能力に優れた女性」である。数千の鉄砲にも勝るこの武器は、ついに天下を平定してしまったのだ。

この部分こそが、戦国時代の「最も恐るべき点」かもしれない。

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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一

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