全国で大議論の高齢者ドライバー問題 60代男性の半分以上は「免許返納しない」

2016/12/31 06:00

(kazoka30/iStock/Thinkstock)
(kazoka30/iStock/Thinkstock)

年末年始は、交通事故が増える時期でもある。

無謀にも飲酒運転を行おうとする者はどうしても現れるし、また気の緩みが重大事故につながってしまう可能性も。そうならないよう、我々は今から気を引き締めなければならない。

そして、最近議論になっている「高齢者ドライバー」についても触れるべきだろう。

70代、80代のドライバーが珍しくなくなっている昨今、その危険性も各方面で叫ばれるようになった。自治体が免許証の自主返納を呼びかけるという動きも活発になっている。

いずれにせよ、高齢者ドライバーによる事故が正月期間に発生しないよう、今から対策を練る必要があるのだ。


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■全世代平均は4割以下だが…

しらべぇ編集部では、運転免許に関する調査を全国20代〜60代の男女1,088名に取った。


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結果、35.2%の人が、「身体が動く限りは返納したくない」と答えている。

だが、これはあくまでも全世代平均の数字。次に60代男性限定の調査結果を見てみよう。

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その数字は大きく変わり、「返納したくない」人はじつに53.3%。これだけを見ても、高齢者ドライバーの免許証返納問題は一筋縄ではいかないことが分かる。


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■高低差の激しい自治体では

人間、寄る年波には絶対に勝てない。60歳の頃にはできたことが80歳になる頃にはできなくなるのは当然のこと。

だが一方で、「自動車がなければ生活できない」状況下の人も。

たとえば、静岡県静岡市は極めて高低差の激しい地域だ。海に面しているかと思えば、3,000m級の山々もある。だから市北部に住んでいる市民からすれば、自動車は足そのものだ。

アスリートでない限り、南アルプスの麓にある自宅から静岡市平野部まで自転車で行こうとは思わないだろう。現実問題、静岡市の特産品である茶を栽培している農家は、自動車の存在を前提に日々励んでいる。

免許の返納は簡単だが、「そのあとどうするのか?」を考えなければ話は進まないだろう。


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■日本は山岳国

「高齢者ドライバーの運転免許は没収すればいい」という声がある。そして、その意見に追従する有名人も現れた。

だがそれは、あくまでも「都市部・平野部だけの状況を鑑みた声」に過ぎないのではないか。こうしたことは広域視点で考えなければならず、「それでは山間部の住民はどうする?」という問いも当然発生するはず。

我が国日本は環太平洋火山帯の只中に形成された島国で、国土の7割が山地だということを忘れてはいけない。そうであるが故に、この問題の根は非常に複雑な形を成しているのだ。

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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo
調査期間:2016年12月16日~2016年12月19日
対象:全国20代〜60代の運転免許を所持している男女1088名(有効回答数)

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