NHK「ガッテン!」で糖尿病の治療法「新しい薬」を紹介 医師に聞いてみた

「テレビでやっていたから」というだけで、薬に飛びついてしまうのは考え物だ。

2017/02/24 07:00

NHK

2月22日に放送された「ガッテン!」(NHK総合)で、糖尿病に効果的な治療法として「睡眠」を特集。その中で紹介された、ある熟睡方法に問題があるのでは? と話題になっている。



 

■予告の時点から物議

番組予告として紹介されていた内容がこちら。

「運動や食事制限でも血糖値が下がらない人に朗報! まったく新しい治療法が始まりました。それはデルタパワーを増やす「新しい薬」を飲むだけ。でもデルタパワーって何だ?」


これだけ読むと、血糖値を下げるのに効果的な新薬があるように見える。しかし、実際の放送内で紹介した「新しい薬」は、糖尿病の薬ではないのだ。


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■熟睡で血糖値が改善! も…

糖尿病患者は十分な睡眠が取れていない人が多く、そのため熟睡しているときに出る脳波「デルタ波」が少ないと血糖値が上昇してしまい、悪循環になってしまうそう。

そして、そのデルタ波を増加させる薬として、「2014年登場」「糖尿病の薬ではない」と紹介されれたのが睡眠薬だ。その後の映像では「びっくり! 睡眠薬で糖尿病が治療できる」の文字が右上の見出しに約14分間載っていた。

また、新しい睡眠薬と紹介しているのは「オレキシン受容体拮抗薬」で、これまでの睡眠薬とは異なり副作用の心配がかなり少なくなっていると説明。「新たな睡眠薬で熟睡を増やせば血糖値を下げることができる」とまとめた。

2014年に発売された「オレキシン受容体拮抗薬」はスボレキサント(商品名:ベルソムラ)のみ。ちなみに、番組公式サイトでは以下のように述べている。

この放送を見る限り、「この睡眠薬を飲めば糖尿病がよくなる」と聞こえてしまう。そして実際、Twitterには「睡眠薬がきくとガッテンで見たから出してくれ」「新しい睡眠薬は糖尿病に効くんでしょ? 出してよ」と要求する患者が来た…と嘆く医者が続出している。


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■実際どうなのか? 医師に聞いてみた

実際のところ、「睡眠薬で糖尿病が治療できる」は問題ないのだろうか。現役内科医の青木マダガスカル先生に聞いてみた。

青木医師:スボレキサントは、登場して間もない不眠症治療薬です。従来の睡眠薬とは異なる、より生理的な形の作用機序が注目されています。


睡眠時間が血糖変動に影響するという報告があるので、睡眠の質改善によって、糖尿病によい影響があるのは確からしいといえるかもしれません。


しかし、食生活や運動習慣が最重要であることに変わりはなく、とにかくスボレキサントを飲めばOKとは現時点ではなりにくいでしょう。


また、副作用としてはどんなものがあるのかも合わせて聞いてみた。

青木医師:スボレキサントの副作用としては、悪夢、ねむけ、ふらつき、頭痛などがあります。


糖尿病で苦しんでいる人からすれば、睡眠薬を飲むだけでよくなるなら試してみたい! と思ってしまう気持ちもわかる。

しかし「テレビでやっていたから」というだけで、薬に飛びついてしまうのは考え物だ。

(取材・文/しらべぇ編集部・たつき あつこ

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