NHK大河ドラマのワンシーンで「地図上にセントレア空港がある」と大騒ぎに

2017/02/28 10:00

(9aTTh/iStock/Thinkstock)
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大河ドラマ『おんな城主直虎』の舞台は今の静岡県であるが、じつは静岡の象徴である富士山を映すことはなかなかできない。

なぜなら静岡側の富士山には、側火山である「宝永山」が飛び出ているからだ。この宝永山は戦国時代当時には存在しない。だから、戦国ドラマに「静岡側の富士山」を挿入しようと思ったら、どうしても「架空の富士山」になってしまう。

それに似たようなことが、前回放映の大河ドラマで発生した。



 

■戦国時代のセントレア

戦国ドラマは、場面の中で地図による状況説明が多々行われる。

たとえば、今川義元の支配地域はどこからどこまでで、この時は織田氏の治める尾張に進行しようとしていた、という感じの解説だ。だが現在、その中で使用された地図が大きな話題になっている。

(画像は「おんな城主直虎」公式サイトのスクリーンショット)
(画像は「おんな城主直虎」公式サイトのスクリーンショット)

パッと見るだけでは、何が問題なのかわからないだろう。

このつぶやきはすでにたくさんのリツイート数を集めたが、言わんとする意味がお分かりだろうか。

赤丸で囲った部分は、中部国際空港である。ここは敷地すべてが人工島。もちろん、16世紀に存在するはずがない。Twitter界隈では大爆発でも起こったかのような騒動になっている。


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■地形は変化する

そもそも、戦国ドラマなのに現代の精密な日本地図を挿入するのがおかしいのでは? という見方も。

歴史上初めて日本の正確な形が判明したのは、19世紀初頭。伊能忠敬が調査を行ない、今までにない精度の地図を作成した。

それまでは非常に大まかな図でしか日本列島を描くことができなかったのだ。これが海岸から離れた内陸になると尚更で、だからこそ検地を逃れた隠し田も少なくなかったのだが…。

そんな時代で繰り広げられるドラマに、現代作成の地図を安易に持ってくるべきではないというのは確かに説得力がある。地形は、時間を経るごとに必ず変化していくのだ。


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■「完全再現」はほぼ不可能か

そしてもうひとつ、時代劇で登場させづらいものに「犬」が挙げられる。

犬というのは、常に混血と新品種開発が繰り返されている。そのため「純粋な和犬種」は今や非常に少なくなった。これも先述の富士山と一緒で、どうしてもドラマに登場させるのなら「架空の犬種」にせざるを得ないのだ。

もちろん、それを言うなら馬も同様の事情を抱えている。時代劇に出てくる馬のほとんどは西洋由来の種類。木曽馬のような和馬種は身体が小さく見栄えがしないという事情もある。

こうして見ると、時代劇にはいくつもの「あり得ない」要素が散りばめられている。ただし、それを笑って受け止めるのもドラマ鑑賞の醍醐味ではないだろうか。

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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一

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