訪日外国人向けサイト・MATCHAは何故作られた?【コピーライター、あの人に会いにいく!】

僕が青木優くんのことを知ったのは、彼が書いた「就活に失敗して死にたくなるくらい悩んだら、エジプトのダハブに行ってみるのもいいと思う。」という記事を見たことがきっかけでした。

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この記事は賛否両論をよび、燃えに燃えていました。ある人は「けしからん」と罵りある人は「素晴らしい」と拍手をした。僕は後者で、シンプルにここに映っている海の美しさに感動したし、物価の安さに驚きました。「たしかに、ツラいことがあったら、ここに一ヶ月くらい行ってみたいもんだ。自分たちが日常で悩むことなど本当に大したことがないものだ」と感心しました(まだ行けてないことは恥ずかしいですが)。みなさまぜひ一読を。

この記事を書いていたのは、青木くんという当時まだ22歳くらいのワカモンでした。興味をもった僕は彼に連絡をとり、すぐに快諾の返信をもらって、3日後くらいに会いにいき、渋谷であって刺激的な会話をしました。(こういう出会いがあるからWEBもいいものです)

そんな彼が、最近始めたのがこちら。

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訪日外国人向け情報サイト「MATCHA」です。日本独自のカルチャーや日本ならではの暮らし方を、良い写真とともに紹介してくれています。スタートしてからまだ4ヶ月。すでに160カ国から、毎月20万人もの人が訪れるメディアに成長しています。ほんとにすばらしい。記事の数は増えつづけ、英語だけでなく、韓国語、中国語、インドネシア語へと広がっています。それをひとりの25歳の青年が立ち上げたのだからすごい。なぜ、訪日外国人向けメディア「MATCHA」が生まれ、このように成長しているのか?

というわけで、青木くんに会いにいってきました。

■世界には、日本の土壌がある。けど、耕す人がいない。

青木くん(A):MATCHAを始めたきっかけは、映像の会社をやめたことです。自分のやりたいことと自分ができること、これから伸びていくことを考えて、始めようと思いました。自分のやりたかったことは、日本の文化を世界に発信したい、世界に発信し、人を動かすことでその文化を残していくこと。自分ができることは、メディア運営でした。

伸びていくと思ったのは、いま多くの外国人が日本に来るようになってきていて、国や企業もそれに力を入れていくのが目に見えて分かったからです。オリンピックが決まったのはメディアを立ち上げる、と思った2カ月後でした。

コピー目つけ(C):日本の文化を世界に発信したい、と思ったのは、何か原体験みたいのがあったのでしょうか?

A:大学時代に世界一周をしていて、その時のコンセプトが世界で日本の文化がどう盛り上がっているかということや現状を見る、ということでした。

現状はというと、日本の文化、例えばマンガやアニメやファッション、食や伝統工芸など、は確かに人気だったんです。でも、そこで日本人がビジネスできていない、というのがありました。

そこで、日本の文化を世界に発信するのはチャンスじゃないかと思ったんです。でも、結局そこでは何を世界に出していきたいかは見えなかったんですね。海外に出ると自分自身が日本を全然知らないということを知って、もっと日本を知りたくなったんです。で、日本中を旅しました。

C:まず、世界を回ったときに「日本の文化はまだまだ海外の人に受け入れられる」って思ったわけですか?

A:そうですそうです。例えば、イタリアにルッカという街があるんです。小さな城壁街で、フィレンツェとローマの間にある場所なんですけど。

そこで「Comic and game festival」っていうイタリア最大級のポップカルチャーのイベントが年に1回あって、そこに行きました。300店舗ぐらいお店があって、世界の「Comic and Game festival」という体なのですが、そこにあるコミックの7割が日本の漫画なんですよね。ゲームも半分近くそうで、そこにいたコスプレイヤー達の半分は日本のキャラクターでした。

イタリア人だけじゃなくて、ヨーロッパ中から人があつまってきて、明らかに繁盛してるんです。正確な数字は忘れたのですが、5日間で20万人近く来ていました。でも、そこの盛り上がっている中で、日本人がどれだけブースを持っていたかっていうと、3店舗しかなかったんですよね。

ある店舗は焼きそばを売っていて、コップ1杯分くらいの焼きそばしかないんですけど、8ユーロとかで売られていて、で、そこに1時間くらいの行列ができていてなんでここに日本人がいないんだろう、って思ったのと、これだけコアな日本好きが集まっているなかで、日本の会社のスポンサーが全然いないっていうのを目にしました。

C:やっぱり、それはマーケットチャンスはあるのに、意識とか言葉の壁とかが邪魔しているんでしょうね。

A:そうですね。人もいないですし。ロンドンに寿司をおにぎりみたいに売っていて、それでバカ売れしているお店があるんです。だけどお店、日本人ではなく韓国人の方が経営していて、しかも全然おいしくないんです(笑)。こういったのを見て、なんかちょっと悔しいし、もったいないし、チャンスだなと感じています。

■日本って本当にいい国ですか?

A: 日本って「いい国だ」とか「親切な人たちだ」とかってよくメディアでは言われるけど、一方であまりにドメスティックだとも思うんです。閉じている、というか。

単一民族が多くを占め、単一言語しか適応されていない。つまり英語が話せる人も少ないし、国のあらゆる「つくり」が、日本人のためだけになっていると思う。さらに言えばある意味では「不親切な国」なのではないかな、とすら思います。

C::たしかに。訪日する多くの外国人の方達が「日本で残念なことは、英語が通じないことだ」というような話もあります。

A:だからMATCHAでは、ただの「観光地紹介」だけでなく、「日本での暮らし方」「日本でのちょっとした裏技」みたいなハウツー記事も書いています。

例えば「牛丼屋」の入り方とか、「SUICA」を買うと便利だとか、「Wi‐Fi」の使い方だとか。そういうのってだいたいどこの国も少しずつ違ったりして難しいんですよね。日本でそういうものを網羅するページは意外とまだまだありません。

C:そういう記事を見ると、確かに「それは分かりにくいよね」ってことがたくさんある。Wi‐Fiの使い方なんて、日本人でも難しいし。だけどこれだけの記事を誰が書いてるんですか?

A:フリーのライター、教師、会社員、学生、高校生、留学生、と様々です。年齢も17から50近くまでいます。

C:それは全国から募っているということですかね?

A:そうですね。僕と同じように「日本を知ってもらいたい」と思っている人はたくさんいます。そういう人たちを集めて、つないでいけば、きっと今までバラバラだった「日本をもっと広めよう」という気持ちが一つになって、大きなことができると考えています。

■日本のいい文化が、すごい勢いでなくなってる。

A:もう一つ、MATCHAをやる意義をもっていて、それは「日本の文化」を広げたいというポジティブな面だけでなく、「日本の文化がなくなりつつある」という危機感です。例えば、日本の酒蔵はこの30年で、3200から1600まで半減したと言われています。日本酒というすばらしい味のすばらしいお酒がなくなってしまうのは、やっぱり嫌なんです。そう思っている仲間はとても多くいます。

C:日本酒は、いま若い人たちが注目しているカルチャーですよね。でもまだまだうまくいっていない。

A:伝わっていないと思うんです。例えば、ワインに比べて、日本酒はまだまだ情報化されていません。そういうものを伝える技術を磨いていって、実際に伝えていけるコンテンツを創り続けたいとおもいます。

8月には、戸越銀座商店街特集をしようと考えています。商店街は日本の魅力の1つだと思っていて、そこをMATCHAなりに取り上げていきたいです。

(文/コピーライターの目のつけどころ)


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