やたらと使われるイチロー… ビジネス書でよく見かける「野球」のたとえ話5選

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今年も、夏の甲子園が始まりました。高校野球の特徴とひとつといえば、その様式美です。あきらかにアウトの場面でも1塁まで全力疾走したり、チェンジの際にも短距離走のごとくベンチまで一直線に向かうあの姿は、独特の規範が織り成した文化と言えるでしょう。

体力温存や怪我リスクの観点でいえば非合理に見えるこれらの行動も、彼らの秩序のなかでは理にかなったものと捉えられており、それは観客からも「ハツラツとしたプレー」として高く評価されているのです。要するに高校野球は、野球とはまた異なる秩序のもとで成り立つ、プレイヤーとその支持者で成り立つ独特のゲームなのです。

 

■野球の比喩を使いたがる日本人

また高校野球は、「一度負けたら終わり」というプレッシャーの高さゆえ、選手の精神次第で試合展開が大きく変わることで知られています。ちょっとしたきっかけで投手のコントロールが乱れたり、守備のミスが増えたりすると、9回裏の大きな点差も一気に逆転することがあるのです。それゆえ、「物事は最後までなにが起きるかわからない」ことのたとえとして高校野球を例に出す人をちらほら見かけます。

これ以外にも、“プロ野球”で物事を例える人は多くいますよね。阪神と巨人の関係を会社組織の関係でたとえたり、長嶋と王の違いを2人の上司の違いを説明するときに使ったり。このように、独自の文脈やエピソードを持つ野球というスポーツは、しばしばほかの事象に重ねて語られがちです。「○○っていうのは、野球でたとえると…」と、楽しそうに話す人の姿を見かけたこと、みなさんもあるのではないでしょうか? これは、ビジネス書も例外ではないようです。

しらべぇ編集部では、男女1500人を対象に、「ビジネス書で野球にたとえている箇所を読んだことがある人」の割合をアンケート調査してみました。結果、全体で16.3%(男性は20.7%、女性は11.9%)の方がその比喩を見かけたことがあると答えました。やはり、こうした傾向は一定数の人に見られるようですね。

 

■ビジネス書でよく見かける野球たとえ話5選

というわけで今回は、ビジネス書でよく見かける、野球でものごとを例えた文言を5つご紹介します。これを読めば、結果的にビジネス書を読んだことになるかも(?)。

【その1】「○○と△△では、少年野球と大リーグほどの差があります!」

零細企業と大企業の関係性を例えるときにしばしば用いられます。たしかに両者が大きく異なることは事実ですが、子どもと大人を比較して互いの実力差を示すというのは、条件が違いすぎて果たして比喩として妥当なのか、やや疑問が残ります。

【その2】「あの○○だって、最初から好成績を残すバッターだったわけではありません!」

ここの「○○」には、大器晩成タイプのプロ野球選手が入ります。高校時代はまったく注目されず、社会人野球からプロ入りした小笠原道大選手はこちらのタイプですね。ビジネス書のなかでは、「あなたが今後どうなるのかなど、この先わからない」「あるときに急に結果がついてくることがあるからがんばれ」といった主張をしたいときに使われがちです。

【その3】「あのイチローでも、3割打てれば優秀と言われるのです!」

こちらもよく見かけるフレーズです。「毎回成功をおさめられるわけではないのだから、萎縮をしてはいけない」ということを主張したいときに使われがちでしょうか。たしかに、野球の場合10打席中3打席打てればバッターとして優秀というのは事実であり、書き手の言いたいことはわかります。

ただ一方、野球というスポーツは競技上どうしても10球中10球打てるということはあり得ず、結果として3割打者が優秀となっただけであり、それをビジネスでのチャレンジの成功・失敗の確率に安易に重ねることは、ルールの違いを無視した安易な比喩表現ともとれます。

たとえば、別競技であるゴルフの場合、静止したボールにクラブを当てるので、こうした「的中率」の例えが使えません。比喩に恣意性が感じられると、突っ込まれた場合、厳しいかもしれません。

【その4】「バットを振らなければヒットは打てません!」

これも頻出文章です。このテキストの前には大抵、「行動しないと成功には至りません!」「口だけではダメなのです!」といったように、個人の行動を促す文章が書かれています。もしくは、日本の企業社会と欧米のそれとを比較し、チャレンジを後押しする文化が薄い日本企業をわかりやすく批判したいときにもよく用いられます。

饒舌な論者の場合、以上に加えて、「日本はバッドを振って空振りすると、猛バッシングされる社会だ、けしからん!」と続くこともありますね。

【その5】「イチローも、毎日の地道なトレーニングの結果として10年連続200本安打を達成したのです!」

「毎日の愚直な試行錯誤と努力の積み重ねが、大きな結果を生み出す」ということを主張したいときにもっとも使われる比喩表現と言ってよいでしょう。「10年連続200安打達成」という彼の驚異的記録が、毎日の地道な練習の賜物だと結論付ければ、それをビジネスパーソンの語学習得や自己の意識改革にかさねて語れるわけです。

ビジネス書でイチローがやたらと使われる理由は、驚異的な記録を保持し、かつそれが長く続いているからというのがあるようですね。

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2014年7月22日(火)~7月25日(金)
対象:全国20代~60代 男女ユーザー計1500名

(文/しらべえ編集部

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