波の音がBGMに…厳しい規制が逗子のビーチにもたらし始めた“プラス”な側面

2014/09/01 07:00


umi

2014年の夏、最も話題を集めたビーチは、逗子のビーチだろう。話題になった理由は、多くの人が知る通り、今年から始まった「安全で快適な逗子海水浴場の確保に関する条例及び施行規則」による規制強化だ。

逗子市は、大きなボリュームで音楽が流れ、昼間から夜まで泥酔した海水浴客が絶えなかった昨今の「クラブ化」したビーチの状況をあらためるべく、今年から同条例のもとに、「砂浜での飲酒禁止(海の家では可能)」「他の利用者を畏怖させるタトゥーの露出禁止」「拡声装置を使用して音楽を流すことの禁止」「海の家の営業時間短縮」といった様々な規制を行った。

7月末から8月前半頃、各メディアでは、このような規制により若者を中心に逗子を訪れる海水浴客が激減したことを報道。海水浴客向けの商売を行う人たちの“悲鳴”も紹介され、規制の必要性について議論が起きていた。

そんな同条例も8月31日でいったんその施行期間を終えたわけだが、この厳しい規制が逗子にもたらしたものは何だったのだろうか? マイナスなものなのか、プラスなものか? 今回しらべぇ編集部では、逗子市に住む人への取材、そしてツイッター上の声をもとに分析してみた。

まず、ツイッター上で「逗子」に「つまんない・つまらない」というワードを加えてつぶやきを検索してみた。その結果、逗子に遊びに行った感想として「つまんない・つまらない」とつぶやかれていた投稿は、たったの1~2件のみ。

それ以上に圧倒的に多かったのは、以下に並べるような投稿だ。

「逗子が静かでいいと思う」(@Hebikuboさん)
「静かな逗子の海岸。富士山と江ノ島が見えます。涼しくて気持ちいい」(@hanarugさん)
「2年ぶりの逗子の海はとっても静かで水も綺麗で逗子じゃないみたいでした」(@aya621exさん)
「逗子は波の音がBGMって事でいいと思う。ほんと目からウロコの心地良さ。体験して無い人が音楽ないと淋しいと言うんじゃないかな。癒し系音楽くらい聴きたいわ~と思ってたけどなーんにも要らなかった。」(@umirokaさん)

「静かになった逗子海岸ですが半減ってことは無い感じで賑わってました。東京の近くのビーチはうるさいので行きやすいビーチの中に静かなビーチもあっても良いと思いました」(@ganamixさん)
「波あるし静かだし逗子海岸最高です」(@misaverteさん)
「初めて逗子海岸へ行ってきました。条例のせいかとても静かで、波の音と子供達のはしゃぐ声だけが聞こえてきて、すごく良かった」(@_motoko_さん)
「逗子海岸に来たよ。波の音に癒される素敵ビーチ」(@rincyscさん)

音楽が流れていなくても、波の音が心地よく響き、それが耳を楽しませる。そして、静かで落ち着いた空気が流れていて、子供たちも存分に楽しむことができる。今年の逗子のそんな空気が、これら訪れた海水浴客たちのツイートからうかがえるだろう。

そして、ビーチ周辺の治安悪化を憂いていたという逗子市在住の男性・Nさん(38歳)は、今年の逗子について次のように話してくれた。

「家族連れもそうだけど、今年は学生のカップルや若い真面目そうなカップルが本当に楽しそうに遊ぶ姿をよく見かけた気がします。威圧的で怖い人たちが減ったことがあのような光景に繋がってることは間違いないでしょう。

音楽を聴きたければイヤホンをして自分の世界で楽しめばいいし、お酒だって海の家で座ってゆっくり適量を飲むほうが気持ちいいはず。僕としては、この規制を辛抱強く続けてもらって、もっと平和な海、そして街になっていったらいいなと思います」

“利用客激減”や“海の家が悲鳴”といった言葉はインパクトが強く、また事実であることから、メディアでは大きく取り上げられる。しかし、この規制がもたらしたものは、そのようなマイナスの側面だけではないだろう。都心から近く、どんな人でも気軽に訪れて存分に楽しめる静かなビーチ。今年から始まった規制は、逗子のビーチにそんな“個性”ももたらし始めているといえそうだ。

(文/しらべぇ編集部

ビーチ社会
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