就活テーマ曲ランキング…就活生はいつまで『負けないで』に励まされるのか問題
今年も、株式会社マイナビが「就職活動のテーマ曲ランキング」を発表した。これに、楽曲の発表年を付記したランキング表がこれだ。まずはご覧頂きたい。
「2015年卒 就職活動のテーマ曲ランキング」
1位:『負けないで』ZARD(1993年)
2位:『レット・イット・ゴー~ありのままで~』(「アナと雪の女王」主題歌、2014年)
3位:『何度でも』DREAM COME TRUE(2005年)
4位:『終わりなき旅』Mr. Children(1998年)
5位:『栄光の架橋』ゆず(2004年)
6位:『全力少年』スキマスイッチ(2005年)
7位:『Progress』kokua、スガシカオ(2006年)
8位:『あとひとつ』ファンキーモンキーベイビーズ(2010年)
9位:『ファイト!』中島みゆき(1994年)
10位:『夢を見方に』絢香(2009年)
※中島みゆきの「ファイト!」がアルバムに収録されたのは1983年。1994年に「空と君のあいだに」とカップリングされ、住友生命のCMソングにもなりヒットした。
なるほど。就活に限らず定番の応援ソングと、就活生たちが生きてきた時代に流行した応援歌的な曲がランクインしていると言える。ちなみに、昨年度はこうだった。
「2014年卒 就職活動のテーマ曲ランキング」
1位:『負けないで』ZARD(1993年)
2位:『終わりなき旅』Mr. Children(1998年)
3位:『ファイト!』中島みゆき(1994年)
4位:『栄光の架橋』ゆず(2004年)
5位:『ファイトソング』嵐(2007年)
6位:『Brave』ナオト・インティライミ(2011年)
6位:『サクラ咲ケ』嵐(2005年)
8位:『fight』YUI(2012年)
8位:『ultra soul』B’z(2001年)
8位:『ガッツだぜ!!』ウルフルズ(1995年)
謎のランキングである。ここ数年流行った曲、2015年卒で言うと「アナ雪」の曲、2014年卒で言うとナオト・インティライミの「Brave」、YUIの「fight」など最近の曲が入っているものの、他は定番応援ソングである。
しかも、彼ら彼女たちが生まれた90年代の曲も入っている。これは、就活にかぎらず、そもそもの人生の応援歌、テンションが上がる曲がランクインしていると言える。よく日本のチャートは「AKB48と嵐だらけ」と言われるが、嵐は年によっては入っているが、意外にも(?)AKB48関連の曲はランクインしていない。
ここ数年の曲以外は定番感があるのだが、なかでも2年連続でランクインしていたのは次の4曲だ。
・『負けないで』ZARD 1993年(2015年度1位、2014年度1位)
・『終わりなき旅』Mr. Children 1998年(2015年度4位、2014年度2位)
・『ファイト!』中島みゆき 1994年(2015年度9位、2014年度3位)
・『栄光の架橋』ゆず 2004年(2015年度5位、2014年度4位)
どうよ、これ。時代を超えて、ド定番の曲が多くないか。一方、1990年代前半に生まれた彼ら彼女たちだけに、1980年代のヒット曲は入っていない(注で書いたように、中島みゆきの『ファイト!』は、元々発表されたのは1983年だが)。
「アナ雪」の曲は今後も定番になりそうな予感だが。新しい定番ができるのかどうかが注目される。このままだと「負けないで」が一生勝ち続ける予感である。他の曲も「負けないで」に負けないでと言いたくなる。
しばらく、新卒採用は売り手市場が続きそうだが、とはいえ、就活とはいつも不安なものである。負荷も大きい。「負けないで」は今後も就活生を応援し続けるだろう。とはいえ、新定番の登場も期待したいところである。
さて…。自分語りで恐縮だが、私が1996年に就活をしていた頃の応援歌、よくCDウォークマンで就活中に聴いていた曲を紹介しよう。これで私は就活を乗り越えたのだ。聴いた回数、思い入れ度でランキングをつけてみた。心のベスト10はこれだ。どうだ!
1位:『マンピーのG☆SPOT』サザンオールスターズ
→エロい歌詞というよりは、ロックなイントロと、冒頭の歌詞でテンションあげていた。
2位:『アンティル・イット・スリープス』メタリカ
→その頃に出ていたメタリカのアルバムからシングルカットされ、CMでも使われていた曲。中央線に乗りこむたびに、これを聴きながら闘志を高めていた。
3位:『クレイジードクター』LOUDNESS
→LOUDNESSの代表曲。ベタなホラー的、日本のヘビメタ世界観。小学校の頃から聴いているこの曲に救われるとは。
4位:『MOVE』B’z
→当時、進研ゼミのCMで使われていた、B’zの疾走感あるちょっと前向きになれるロックナンバー。
5位:『ワープト』レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
→邦題が「電撃ワープ」。ギタリストがデイヴ・ナヴァロだった頃のレッチリ。疾走感のあるナンバー。
6位:『今夜はブギーバック』小沢健二・フィーチャリング・スチャダラパー
→当時バカ売れしていたオザケンの2ndアルバム『Life』より。最近、「モテキ」の映画版でも使われていた。特に元気が出るわけではないけど、なんとなく聴いていた。いかにもな応援歌ではなく、そのときに聴いて和める曲も大事だと思う。
7位:『ロックンロール・イズ・デッド』レニー・クラビッツ
→レニクラの4枚目のアルバムより、タイトル曲。けだるい感じ。それが就活の時の雰囲気とあっていたのかも。
8位:『炎のファイター』
→アントニオ猪木の入場テーマ。聴くだけでテンション上がる。
9位:『ねがい』B’z
→まさにタイトルどおり。ミディアムテンポの良曲だと思う。
10位:『ミザルー』ディック・デイル
→映画「パルプ・フィクション」の主題歌。この映画、はまっていた。いや、厳密に言うと、はまっている風を演じていたというか。当時、『トレイン・スポッティング』や『リアリティ・バイツ』同様、流行っていたのだ、この映画。
というわけで、いかにも「応援歌」ではなく、実はそのとき、自分の中で熱い曲に励まされるのではと思った次第だ。さて、「負けないで」を超える就活応援ソングは現れるのか? 激しく傍観しよう。
※某大手玩具メーカーの時に作った、就活応援ソングがYouTube上に上がっていた…。若い頃の私も出演している…。
・バンダイ 就活応援ムービー 『ボクの伝えたいこと』
(文/常見陽平)