ガチで容赦ないタイの水かけ祭り「ソンクラン」とは?法律で損害賠償を禁止!?
こんにちは、しらべぇ海外支部です。
世界には、実にさまざまなお祭りがあります。そのなかには、“楽しそう”を通り越してちょっとクレイジーに思えてしまうものも…。今回紹介するのは、タイのそんなお祭りのひとつ、「ソンクラン」です。
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ソンクランとは、タイにおける旧正月のことであり、チャントラカティ(タイの旧暦)の新年です。時期は、4月13日から15日。もともとは、純粋に新年のお祝いで家族が一堂に集まり、共同で仏像のお清めを行ったり、年輩の家族のお清めを行う期間でしたが、後に単なる水の掛け合いに発展したため、現在では新年と言うよりも祭りという色彩が強い。そのため、日本では(タイの)「水掛け祭り」という言い方をするようです。
この期間、半端ない水かけから逃れる為にタイを出る人もいるくらい…。どのくらい激しいか、以下の点からまとめてみました。
●日本では開催できないだろう、ソンクラン その理由3つ
1:環境問題!節水の概念はどこに?
水道から、水瓶から、消防車の放水ホースから…。水がある、水が出るところからは出しっ放しという状態です。それらは人や車に向けられます。すれ違う人々はバケツや水鉄砲を持ち応戦し、壮絶な水の掛け合いをします。
筆者の参加したパタヤのソンクランは、本番を含め、3日間もその状態が続きました。ホテルの中庭はクラブ化し、ひしめき合うオーディエンス目がけて容赦ない放水! 節水の観点からいえばけしからん状態となります。
2:モラルはどこまで許せるか? 水浸し泥まみれのお客は?
外に一歩踏み出せば、買い物や食事、観光目的があろうとなかろうと、放水を浴びることは必至。水浸しの体、水浸しの道路。さらには粉を水でといて交差する人の顔や体に塗りたくる習わしも。
これは、元気で1年過ごせるようにとの意味をもつので、塗られるのを拒むのはタブー。「ハッピーソンクラーン!」とにこやかに答える事になっています。この習わしのおかげで、ずぶ濡れの上に泥だらけなのです。
そして、開いているレストランやショッピングモールは、当然どこも酷く汚れます。日本では海水浴場近辺のコンビニに水着のまま来るのがマナー違反という話題があったほどなので、これに耐えられるお店は少ないのではないでしょうか?
3:損害賠償の請求は出来ない?!
観光客だろうと、無防備だろうと差別なし!!ソンクランを知らずにタイに入国し、遭遇してしまった際は、運が悪かった…としか言えません。カメラやパソコン、iPhoneなど濡れては困るものを持っていても、遠慮や情けは1ミリたりともありません。知らなかったからと憤慨したところで、この期間、「水が原因の損害賠償は法により出来ない」という決まりになっています。
ソンクランを知っている人は、iPhone等は防水のケースに入れて備えます。また首から下げるビニールケースにお金や身の回りのものを入れ、とうぜん濡れる事を想定した服装(下は水着など)で完全防備してから外出します。空気を読む日本人同士ならば、この人は濡らしてはいけないな、等の配慮をするかもしれません。が、ここはタイ。全てが「マイペンライ=細かい事は気にしない」精神が息づいています。
また、ソンクラン期間中は一年で最も交通事故数と死亡者数が多いと言われています。お祭り気分プラス無礼講ムードに包まれ、飲酒運転をするドライバーが爆発的に増えるようなのです。さらに、路面が水浸しで滑りやすいうえに、走行中の車やバイクにも無差別に水を掛けます。視界やバランスを失ったドライバーが事故を起こすこともあるんですね。
クレイジーな水掛けのなか、全てが自己責任という危険な側面もあるソンクラン。ここまでとことんやる体験は貴重な思い出になること間違いなし! 常夏のタイでも最も暑い季節“暑期”に行われるお祭り、ソンクラン。水に流したい事がある方も無い方も、タイで水責めを経験してみませんか?
(文/しらべぇ海外支部・hiroko)