最も大変なのは蕎麦…知られざる南極での食料事情とは?南極料理人に聞いてみた

2014/10/10 07:00


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LCCの参入などで、海外旅行はより身近になりました。しかし、南極大陸を訪れたことがある人はほとんどいないでしょう。

そんななか、2度も南極を訪れた人に出会いました。南極地域観測隊の料理人として参加した篠原洋一さんです。そこで、「こんな機会はめったにない」という思いのもと、南極観測隊の食料事情を伺いました。

日本や海外なら、地元のスーパーなどで現地での食糧調達も可能です。しかし、南極には何もありません。さらに、南極条約によって、南極での動植物の採取はすべて不可。魚を釣って食べてもいけないのです。ということは、食材は全て持ち込まなければなりません。肉や魚なら冷凍でも食べ慣れてますが、野菜は生で食べたいときもありますよね。一体、どのようにしていたのでしょうか?


●キャベツは切り口に石灰で半年の保存可能

タマネギやニンジンは、南極では半年くらいは普通に持つとのこと。保存期間は意外に長いことが分かりました。また、タマネギは芽が伸びたら、その部分をネギにして調理できます。有限の食材をいかに活用するかというところに知恵が見えますよね。

傷みやすいキャベツも、半年の保存ができるとか。芯などの切り口に石灰を塗り、新聞紙などに包んでおけばOK。多少外側の葉が傷んでロスが出ることもあるそうですが、きちんと食べられるそうです。

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●水耕栽培で葉ものを室内栽培

実は南極観測隊の基地内には水耕栽培の施設があるんです。ルッコラやカイワレのほか、ミニトマトやキュウリ、二十日大根などを栽培していたそうです。穫れたて野菜のサラダなんて、都内でもそうそうに食べられません。

もしかしたら、南極の方が食生活が豊かなのではないでしょうか。観測隊の記録によると、メロンを栽培したこともあるらしいです。しかし、収穫までの期間が長いメロンを栽培することは効率が悪く、篠原さんの時代には作られなかったそうです。

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●日本の味、蕎麦を打つのが最大の苦労

牛丼やカレーの定番から、ソフトクリーム、夜のお酒のつまみまでと何でも作ってきた篠原さん。そのなかで一番大変だったのが、手打ち蕎麦。蕎麦粉は乾燥にとても弱いのです。南極はとても乾燥しているため、普通に作るとボロボロになって蕎麦になりません。

そこで、基地で蕎麦を打つときは、部屋中の加湿器を使い、さらには大鍋でお湯を沸かして湿度を上げないといけなかったとか。「基地での調理にほとんど困ることはなかったが、蕎麦打ちの苦労は記憶に残っている」とのことでした。

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●最後に人気だったメニューを紹介!「南極ドライカレー」

日本郵船100年の伝統ドライカレーを継承した逸品です。篠原さんは観測隊に参加する前に豪華客船「飛鳥」に乗船し、そのときに習得したそうです。肉を柔らかくするために加えたパイナップルがちょうど良い隠し味となり、風味とコクが豊かなドライカレーです。

どこでも好きな国に行けるようになったいまでも、南極に行けるのはごく限られた人だけです。遠い世界だと思っていた場所ですが、生活に身近な食料事情を知ることで、少し興味がわいたのではないでしょうか?

【取材協力】「Bar de 南極料理人 Mirai」
横浜市中区吉田町2‐7 VALS吉田町B1F/045‐326‐6475/営業時間:17:00~25:00 (不定休)

(取材・文/しらべぇ編集部・重野マコト

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