サンフランシスコのいけてるメキシコ料理店その1【マッキー牧元の世界味しらべぇ】

2014/10/22 11:30

サンフランシスコ・ベイエリアを代表するレストラン紹介するシリーズ第1弾は、ミッション地区にあるメキシコ料理店「グラシアス・マドレ」。なんとこの店は、ビーガン専門のメキシコ料理屋なのである。

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ベジタリアンといっても様々なスタイルがあり、魚、玉子、乳製品、蜂蜜などをそれぞれ食べてもいい、ベジタリアンもあれば、魚はだめだが他は可能、あるいは玉子と蜂蜜、もしくは乳製品と蜂蜜はいいというベジタリアンもいる。しかしビーガンは、純粋菜食主義者で、こうしたものは一切口にしない。サンフランシスコは、全米中でもベジタリアンはもとよりビーガンの人が多く、様々なレストランでその人達用のメニューが用意されている。しかしここは専門店、100%オーガニック&100%ビーガンで、しかもチーズや肉類を多用するメキシコ料理というのが面白い。

オレンジ色に塗られた壁を持つ半テラス席と、床、壁、椅子、テーブルすべて木造りの50人は入る室内があり、ベジタリアンにありがちな陰気くささが微塵もなくモダンである。テラス席は、木の十字架とろうそく型照明が効いている。

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お客さんは、センスの高い女性の二人連ればかりで、しかも美人が多い。女性二人連れ、しかも美人多い。外を歩くメキシコ人のおっちゃん何人かが、怪訝そうに中をのぞいては、去っていく。

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頼んだのは、タコス$13。6種類の詰め物から3種類選び3枚のタコスに詰めてもらうことができる。選んだ具は

①「カラバサ」ズッキーニソテークミン風味
②「ホンゴス」マッシュルームソテーニンニク風味
③「ラジャス」パブラノチリとオニオンのロースト

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なによりタコスの皮がすごかった。よく見かける薄茶がかった白ではなく、一面こげ茶色。噛んだ瞬間甘いとうもろこし香りが弾け、味わいは、まずほろ苦みが来て後から甘みが顔を出す。おそろしいほどの皮の存在感がある。「ビーガンだぞお」という力強さと野趣があって、これに比べりゃ日本のタコスなんて、もやしっ子である。タコス以前といってもいい。そこへそれぞれの野菜や茸が香り、調和し、カシューナッツで作ったチーズソースのコクが追いかける。なにかこう、畑の中に立っているような清々しい気分で、これなら肉もチーズもなくとも充足する。手前に置かれた、チョコレート色の黒豆煮も、豆だけの甘みが濃厚で、お腹が満たされる ビーガンというと、菜食主義者以外の人間には、どこか弱弱しさを感じるが、まったくの辛気臭さはなく、野菜と穀物の力強さに圧倒される。

ちなみに一緒に頼んだIPAのビールともぴたりと合った。ビーガンならではのたくましさ。さすが先進国である。 そして店名、おそらく神からの、大地の授かり物も意味していて、「おかあちゃん、ありがとう」。なんと素敵な店名だろう。

mekisikan5 Gracias Madre http://gracias-madre.com/

(取材・文/マッキー牧元

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