「鼻の穴と穴のあいだの部分」としか表現しようがないアソコの正式名称は?
暑すぎず寒すぎず、1年のうちで5月と並び過ごしやすさが水際立っている10月。上旬であれば、窓を開けたまま眠りにつくという人も少なくないでしょう。しかし、そんな時に部屋に忍び込んでくるのが、「ふふふ、お前、おれを忘れたな」と言わんばかりに現れる、にっくきにっくき蚊です。
つい先日、筆者はそんなもったいぶって登場した蚊によって、鼻の穴と穴のあいだの部分を刺されました。鼻の穴と穴のあいだの、切ったら鼻の穴がひとつになっちゃうところです。
そんな災難によって、朝からお昼過ぎにわたり、スケベな気持ちになっているわけでもないのに鼻の下を伸ばし、鼻クソをほじっていると思われないような絶妙な指のポジショニングを意識しながら数分に1回ボリボリと刺された周辺をかく、という時間を過ごしたわけですが、この体験によってあることに気づきました。
それは、鼻の穴と穴のあいだの部分は、「鼻の穴と穴のあいだの部分(とこ)」としか表現できないということ。電話など対面でないコミュニケーションですぐに伝わらない場合は、「鼻の穴と穴のあいだの、切ったら鼻の穴がひとつになっちゃうとこ」としか言い様がないのです。
「夜寝てたら、鼻の穴と穴のあいだのとこを蚊に刺されちゃったっぽくて、もう最強にイヤな感じでかゆくて仕方ないんですよね」
「昨日の夜、鼻の穴と穴のあいだのとこ蚊に刺されちゃってさぁ。え?だから、鼻の穴と穴のあいだのとこだよ。あの、鼻の穴と穴のあいだの、切ったら鼻の穴がひとつになっちゃうとこ!もしもーし」
こんな具合ですね。もちろん、この部分の名称が日常会話に登場する機会はほとんどなく、正式名称を知らなくても全くもって困ることはないのですが、筆者の周囲の人間28人に「“鼻の穴と穴のあいだのとこ”の正式名称を知ってるか?」と聞いたところ、なんと知ってる人間は0人でした。あの、インド人がその概念を発見したというゼロです。
ということで、今後もし同じような“蚊災”に遭った際に正式名称が言えるよう、“鼻の穴と穴のあいだのとこ”の名称と、その体内における機能について、現役耳鼻科医のS先生(31歳)に聞いてみました。
「あの部分は、鼻中隔(びちゅうかく)といいます。僕も、知らない人に説明するときは、“鼻の穴と穴のあいだの部分”って言いますね(笑)」
S先生は、さらに次のように説明してくれました。
「鼻中隔には、骨があります。鼻の頭は軟骨でできていてグニグニしていますが、鼻中隔にいくと普通のかたい骨になります。鼻を仕切っているこの骨は、実は脳みその下まで続いていて、鼻の形はもちろん、頭・顔面の骨の形まで維持し支える役割もあるといえますね。
ちなみに、外から見てもわかりませんが、実は成人の8~9割ほどの人は多かれ少なかれ鼻中隔が曲がっていると言われています。曲がっている程度がえげつない場合、鼻中隔湾曲症というれっきとした病気で治療が必要になります。耳鼻科でよく行う手術のひとつですね」
そう、あの“鼻の穴と穴のあいだの部分”は、もちろんのことただの飾りなわけはなく、カラダの健康維持に重要な役割を果たしていたんですね。鼻、そして顔の“中核”でもあるといえそうです。
そんな大事な役割を果たしてくれている“鼻中隔”。その名前が少しでも多くの人に知られますように。
(文/しらべぇ編集部)