掃除機の音が耐えられない…「絶対音感」の人の日常は苦労だらけだった
「絶対音感」といえば、ほんの一握りの人だけが持つ能力。神秘的で特別な響きがありますよね。音符すら読めない筆者からすると、憧れる能力ナンバーワンです。そんななか先日、絶対音感を持つ女性・Aさんに話を聞く機会がありました!
興味津々で質問を浴びせると、意外な回答がたくさん得られた次第です。どうやら、絶対音感の人は自分を特別と思っているわけでもなく、日常生活ではむしろ不便を感じている?! 今回はAさんに、“絶対音感な”日常生活を語ってもらいました。
●絶対音感になった理由は…案外ふつう!
「3歳のころからずっとピアノを習っていたら、いつの間にか知らぬうちに絶対音感が身についていました。ちなみに、両親は音楽の先生で、母も絶対音感を持っています。すぐにピアノをやめた弟には全く音感がないので、遺伝ではなくて後天的なものみたいですね」
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●絶対音感で苦労すること
1:普通の人にはわからない、苦手な音がある
「気持ち悪いと感じる音があるんです。たとえば、掃除機の吸い込む音。あれって「ブーン」という音の中に、空気を吸い込む音・モーターの音・フィルターが振動する音…と、いろんな音が混ざっているんです。でも、それぞれの音が和音になっていないので気持ち悪くて…。
特に、中学の掃除機の音が一番嫌でした。授業中に遠くから聞こえてくるだけで、授業に集中できなくなるんですよ」
2:日常の音がいちいち気になる
「横断歩道で“とおりゃんせ”のメロディが流れていることがありますよね。あれって、新しいものは古いものよりちょっとだけ音が高いんですよ。あと、ファミレスで店員さんを呼ぶときの押しボタン(ベル)の音も気になったりします。『あ、この店のベルの音は高いな』みたいな感じで。
音に気をとられてぼーっとしてしまったり、集中できなかったりするので、絶対音感でもあんまり嬉しくないですね」
3:気付いたら、危ない人になっている
「小さいころは、電話をかける前に受話器を耳にあてたときの『ブーン』という音が、ソとラの間の音でよく聞き入ってました。誰にもかけずに電話をじっと聞いてる子供なんて、今思い返すと相当やばい姿だったでしょうね(笑)。ひょっとしたら、今でもそういう状態になっているときがあるかもしれません」
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●絶対音感で得したこと
1:どんな楽器でもチューナーいらず
「楽器はチューナーなしで完璧に音をあわせられます。吹奏楽部に入っていたので、これはかなり役立ちました。クラリネットやトランペット、フルートなど、どんな楽器でも音を合わせることができますね」
2:音楽の記憶力はレコーダーレベル
「初めて聞く曲も、数回聞いただけでかなり正確に歌ったり弾いたりできます。だから、逆に歌が下手な人の気持ちがわからないんです…。下手な人と一緒にカラオケに行ったりすると『うわあ、なんでこんなに下手なんだろう』とびっくり。ちょっと引いてすらしまいます
1番と2番なんて歌詞が違うだけなのに、音がズレる人とか意味が分からなくて…よく考えると、絶対音感でもほとんど得してないですね(笑)」
お話を聞きながら、耳に入ってくる全ての音を「これは音階で言うと何?」と聞きまくったベタな筆者…。それに対しAさんは、「これはちょっと高めのソだね」「低めのレ」と困り笑顔で答えてくれました。こういった類のしつこい質問も、彼ら絶対音感の人たちを苦労させてるんだろうな…と反省です。
※最後に…意外と知らない「絶対音感」ってなに?
音感には「絶対音感」と「相対音感」の2つがあります。相対音感は「シよりも低くてソよりも高いから、これはラだな」というように、ある音を基準にして別の音を判断できる能力。対して絶対音感は、ほかの音と比較せずに「ちょっと高めのレ」「少し低めのド」といったように、より細かく音をとらえることができる能力です。
(文/しらべぇ編集部・河津愛美)