【プロ野球】巨人はFAで補強するよりも現有戦力の底上げを

2014/11/16 11:30


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プロ野球がFA制度(フリーエージェント。実績のある選手がその資格を得ると、移籍の自由が認められる。また、FA宣言後、所属チームの残留もできる)を導入して、早21年。シーズンオフに入ると、「巨人の戦力補強」が話題にならなかった年が少ない。

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■2014年も巨人の戦力補強説が報じられる

巨人は言わずと知れた球界の盟主で、V9の影響が大きいのか、「常勝」「優勝」「日本一」にうるさい。ほかの球団と異なり、優勝パレードは日本一のときしか実施されないのも特徴だ。

あるスポーツ紙では、在京球団のベテラン選手2人がFA宣言し、“巨人が獲得するのでは?”と報道されている。長野久義選手が右ヒジと右ヒザの手術を受け、2015年の開幕戦に間に合わない可能性が出てきたこと、阿部慎之助捕手の守備位置をキャッチャーから1塁手にコンバートされることが要因だ。

しかし、筆者はFA補強ではなく、現有戦力の底上げで充分と考えるのだが、その理由をいくつかご紹介したい。

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1.若手にとっては、レギュラー奪取のチャンス

仮に長野選手が開幕に間に合わないのなら、高橋由伸選手兼任コーチ、亀井善行選手、橋本到選手、大田泰示選手など、代わりはいくらでもいる。とくに2008年のドラフト1位である大田選手は24歳の若さに加え、2014年シーズンは眠れる獅子が目を覚ましたかの如く、優勝決定後は巨人軍の第81代4番打者に抜擢された。同級生の橋本選手ともども、のびしろもある。

「主力が戦列を離れている」というのは、控え選手にとってレギュラーを奪取するチャンスなのだ。

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2.巨人の捕手は今季8人、来季は何人?

巨人がベテラン捕手をFAで獲得しようという理由は、下記が考えられる。

①より実績のある捕手をとり、V9以来のセリーグ4連覇に臨む
②捕手の人材確保

巨人ホームページの選手名鑑を見ると、今シーズンの捕手は8人いたが、シーズン終了後に1人が戦力外通告を受け、さらに先述した阿部捕手のコンバートで、2人減った。

秋季キャンプでは、“捕手の穴埋め対策”なのか、和田恋選手が内野から捕手に転向。2塁への送球動作を解析する実験では、強肩を披露しただけではなく、チームトップのタイム(1秒78)を記録した。順調に育つと、正捕手争いに加わる可能性をにおわせた。来季の正捕手候補と思われる小林誠司捕手もうかうかできない。

現時点、来季の1軍捕手陣は小林捕手、ベテランの實松一成捕手、加藤健捕手でそろっている状況なので、FA補強に疑問符をつける評論家や巨人ファンは少なくないと思う。

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3.巨人にFA移籍した選手の平均在籍期間は4年

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1993年から2014年開幕前まで、巨人にFA移籍した選手は17人にのぼる。移籍1年目でリーグ優勝を味わった選手は11人、日本一をつかんだのは6人しかいない(杉内投手はケガのため、ポストシーズンの登板なし)。

FA前とFA移籍後の成績を比較すると、野手に関しては、打率が小笠原選手以外すべて下回っている。一方、投手に関しては、勝ち星が上回ったのは工藤投手と杉内投手のみ。しかし、河野投手と前田投手は、移籍後の先発登板がないので、リリーフでチームの勝利に貢献した。

巨人にFA移籍した選手の在籍期間は、平均4年。しかも巨人で現役を退いたのは、川口投手のみ。12人が自由契約、再度のFA移籍、別のFA選手獲得による人的補償のいずれかで、新天地に移った。

巨人が来季、セリーグ4連覇と日本一奪回を成功させるには、「新しい正捕手の確立」、「ファースト阿部の好守好打」、「先発投手の充実(完投を増やして、リリーフ陣の負担を減らす)」の3点が大きなカギと言っても過言ではない。

(写真・文/しらべぇ編集部・岸田法眼

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