【2015年箱根駅伝】何区が勝負の分かれ目なのか?注目ポイントをすべて紹介!

2015/01/02 09:00


しらべぇ0102箱根

2015年1月2日〜1月3日に行われる、第91回箱根駅伝。各日を往路5区間・復路5区間に分けて、10名の選手たちが襷を繋ぐ。毎年のように楽しみにしているという方も多く、テレビだけでなく現地へ観戦に駆けつけるという方もいるだろう。

全217.1kmという距離では、いつ何が起きるか分からない。各区間には特徴があり、毎年さまざまなドラマが生まれる。そこで区間の特徴から、注目しておきたい“みどころ”を検証してみた。

画像をもっと見る

<往路>

■大会全体の流れを作る1区:21.3km

大会中、唯一全校の選手が“横並び”で走りだすスタート区間。東京都千代田区にある読売新聞社前から、箱根駅伝が始まる。

集団が生まれやすい1区では、目には見えない駆け引きの応酬。お互いを牽制しながら集団で走っているかと思えば、一部の選手が意表をついたペースアップで集団を引き離す。あるいは、序盤からハイペースで逃げ切りを狙う選手がいるかもしれない。

1区を何位で通過するか。その重要性を、選手たちは十分に理解している。差がついた状態で襷が渡されれば、当然ながら後続選手は、追い付くために前の選手より速く走る必要があるだろう。大会中はほとんどの選手が「追う立場」であり「追われる立場」でもある。追われることだけに集中できるトップ選手は、精神面でも有利といえるのではないだろうか。

■エース出揃う“花”の2区:23.1km

多くの大学には、突出した走力を持つエースの存在がある。中には外国人選手を擁する大学もあるが、彼らエースの多くが走る区間こそこの2区だ。1区からトップで襷を受け取った選手は突き放しに掛かり、後続選手は誰もがトップ(あるいは目標順位)を目指して抜きに掛かる。23.1kmという長距離、そしてまだ1区間分しか差の開いていない2区では、大きな逆転劇も十分にありえるだろう。

さらに2区では13km地点の権太坂を皮切りに、アップダウンの多い区間となる。平地での走力が必ずしも坂道で発揮されるとは限らず、なかには登りを得意とするランナーもいるだろう。坂道の待ち構える後半戦でどのように勝負するのか、レース運びにおける戦略もみどころの1つとなりそうだ。

■海からの風が立ちはだかる3区:21.4km

しらべぇ0102箱根2

コース正面には富士山、そして左手に相模湾という、箱根駅伝コースの中でも一番と言える景観ポイント。しかしその反面、海からの風が時として強い向かい風となり、選手達の走りにとって大きな壁となる。

1・2区で作った良い流れを往路終盤に繋げるため、この3区には走力の高い選手を配置するという大学も少なくない。海沿いに入る前までの緩やかな下り坂で、いかに位置をキープしながら後半に力を残せるか。コントロールの難しく、接戦であれば選手同士の駆け引きにも注目したい区間である。

■大会最短のスピード区間4区:18.5km

往路・復路をあわせ、唯一20kmを切る区間。走りやすいフラットコースでもあり、スピードレースとなることが予想される。往路最終の5区へ繋ぐ前に、選手としてもできる限り良いポジションで襷を渡したいと考えるだろう。もし沿道で観戦すれば、その圧倒的な速さに目が釘付けになってしまいそうだ。

ただしこの4区では、スピードレースだからこそペースコントロールが重要ともいえる。走力が上の選手に対して無理に食らいついてしまうと、後半で思わぬ失速を起こし、以後のレース展開に影響を及ぼしてしまうこともあるだろう。往路を良い形で終えるためにとても重要な区間である。

■往路ラストを飾る登りの5区:23.4km

大会最長の距離を誇り、往路ラストとなる5区。標高差が約864mと、大会の中では最も過酷なコースといえるだろう。

また、復路最初の6区はこの5区での着順でスタートすることになる。そのため、この区間で高順位につけておくことは、復路でも精神的に有利となりそうだ。実際に過去90回行われた本大会のうち、往路優勝校が総合優勝となったケースは61回。約67%にも及び、往路優勝がどれだけ大きな意味を持つのかが伺える。

こうした背景から、5区にはチーム内でも総合力の高い選手が選ばれる傾向にある。なかにはエースが5区を務める大学もあるだろう。これは優勝を狙う大学のみならず、来年のシード権獲得を狙う大学でも同様。なお、往路のトップ到着は例年で約5時間30分程度となっている。

しらべぇ0102箱根3

関連記事:【びっくり】新聞広告の一面がマンガの「ふき出し」? 伊集院静や諫山創のコメントも

<復路>

■繰り上げスタートが行われる6区:20.8km

大会2日目のスタートとなる6区は、芦ノ湖から読売新聞社までの往路コースを逆走する。往路の着順毎にまず1位の大学がスタートし、ゴールタイムでの時間差で2位、3位と順にスタートしていく形だ。

前の選手が見えている状態で走り出せるか否かは、精神的に大きな差となってくるだろう。ただしトップと10分以上差がついた選手は、繰り上げでの一斉スタートとなってしまう。応援する大学が繰り上げとなった場合には、順位の把握に注意したい。

早朝の芦ノ湖付近は気温も低いため、長袖であったり、アームウォーマーをつけていたり、あるいは手袋をして走る選手もいるだろう。5区の登りに対して、スタート後4km程を過ぎると、長い下り坂が続いていく。下り坂は脚への負荷も大きく、ペースコントロールが1つのポイントといえそうだ。

■レース終盤へポジション争いも始まる7区:21.3km

7区は平坦なコースとなり、走りやすく思えるかもしれない。しかし前半は山から、中盤からは海からの風が強く、思うようなペースで走ることができない。さらに、レース後半には気温も上がり始めるため、体温調節も大切だ。暑さに順応できないと、体力を奪われて失速に繋がる恐れもあるだろう。

また、最終ゴールに向けたポジション争いも、この7区辺りから見られる傾向にある。トップ争いはもちろんだが、シード権を狙う大学はここで順位を上げ、復路後半へと繋げていきたいと考えるようだ。そのため、レースの仕切り直しを狙い、ここにエース級の選手を配置する大学も見られる。場合によっては、レース終盤とはいえ大きな順位変動もありえるだろう。

■ラストに難所が待ち構える8区:21.5km

レース終盤に入り、選手はもちろん応援する側も白熱してくる。特に8〜12位付近の大学は、シード権の獲得を強く意識し始めるはずだ(箱根駅伝では10位以内に入ると、翌年の出場がシード権として約束される)。

7区と同様に比較的フラットで走りやすいコースが続くが、8区には最後に難所が待っている。ラスト約5kmの地点に待ち構える遊行寺の坂は、疲れた選手たちを苦しめるだろう。特に混戦の場合、相手選手を牽制しつつ、いかにこの登り坂へ力を残しておくかがポイントとなりそうだ。

■最後の襷を繋いでいく9区:23.2km

スタートしてすぐ下り坂となるが、ここで飛び出すと後半の失速を招く危険性がある。23kmを超える長い道のりは、ペースコントロールが重要だ。残すは10区のみというこの時点では、トップ争い、あるいはシード権争いも激しさを増す。

また9区ゴールの鶴見中継所では、最終走者に襷をつなぐことができず繰り上げスタートになるというシーンもよく見られる。なかには「あと一歩」という場面で襷が繋がらず、涙を流す選手の姿も。これもまた、9区のみどころの1つと言えるのではないだろうか。

■すべての結果が決まる10区:23.1km

大会最終区である10区は、言わずとも一番のみどころだろう。どの大学が優勝に輝くのか、あるいはシード権を獲得するのかは、誰しも気になるはずだ。当然、その緊張はプレッシャーとなって選手たちに襲いかかる。

23.1kmの中では、タイム差によってこの最終区間で順位の入れ替えも可能だろう。「逃げ切りたい」「なんとしても追い抜きたい」「この順位をキープしたい」など、その走りから選手たちのさまざまな思いが感じ取れるかもしれない。各校に大会へ向けた苦難や思いがあり、その全てはこのゴールに向けられたものなのだ。

関連記事:【本場のサンバダンサーも納得】4段階の味をつくれる最新コーヒーメーカーを試してみた

豆知識:「繰り上げスタート」について

最後に1つ、「繰り上げスタート」について補足説明を加えておこう。箱根駅伝では、途中で襷を繋ぐことなく、一斉(あるいは1校)スタートとなる姿が見られる。これが、「繰り上げスタート」だ。これは交通規制や渋滞緩和などの関係で設けられたルールであり、トップ選手とのタイム差が一定以上に離れた場合に行われる。

繰り上げスタートになると、前の選手が中継点に到着していなくても走りださなければならない。全選手が走ることこそできるが、大学名の入った“自分たちの襷”をゴールに届けることはできなってしまうのだ。“襷が繋げられない”ということは、駅伝選手にとって最も辛いことといえるだろう。

では、そのタイム差とはどのように設定されているのか。往路復路でそのタイム差は異なり、具体的には下記の通りとなっている。

【往路】鶴見中継所・戸塚中継所は10分以上、平塚中継所・小田原中継所は20分以上トップから遅れた場合
【復路】各中継所においてトップから20分以上遅れた場合

なお、先の6区でもご紹介したように、往路でのゴールタイムが10分以上トップから遅れた場合にも、復路は一斉スタートとなる。ただし他中継所での繰り上げスタートとは異なり、ここでは襷が繋がったまま。正式なタイムが計測され、順位付けがされる仕組みだ。

繰り上げスタートを往路で見ることは少ないが、復路ではレースが終盤に近づくにつれて出始める。襷を最後まで繋げることができるのか否か。優勝やシード争いだけでなく、そこにも1つのドラマがあると言ってよいだろう。

(文/しらべぇ編集部・三河賢文)

マラソン箱根駅伝駅伝
シェア ツイート 送る アプリで読む

編集部おすすめ


人気記事ランキング