成人式には暴れる若者などいない!日本野鳥の会ばりに若者ウォッチングしてきた

コラム

2015/01/14 17:00

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今年も成人式が終った。今年の新成人は約126万人だ。はじめての酒と煙草の味は、いかがだろうか(と棒読みしてみる)。

しかし、この成人式だが…。謎の一つは、「成人式、荒れる若者」というテンプレ化した報道である。式典で野次を飛ばす者、その前後に暴走行為をする者などが毎年話題になる。いや、約120万人も新成人がいるのだから、少しくらいは悪いことする奴、いるだろ・・・。

この原稿はダイヤ乱れまくりの都内のJR中央線の中で書いているが、成人式で暴れる報道の件数と中央線のダイヤが乱れる回数の比較なら、圧倒的に後者が勝つと思うのだが。この報道、荒れる光景を狙い撃ちにしているようにしか思えないのだ。いや、報道されない分もあるだろうけど、約120万人のうちの数人だろう。成人式をこんなに叩くのなら、電車が数分遅れるたびに「荒れる中央線」とか報道しやがれとも言いたくなる。まあ、そんなことをTwitterでつぶやいたら「◯◯県◯◯市の成人式はマジやばいぞ!」など、批判の声、反論を多数頂いたのだが。

そこで私はいてもたってもいられず、成人式に行ってきた。思えば、成人式に行くのは初めてだ。自分の時は一緒に行く人がいないのと、当時は政治家の話を聞くことや集団行動が苦手だったので、逃げていたのだ。

しかし…。さすがに40歳で新成人の倍くらい生きている中年なので、中に入るのは無理。そこで、成人式会場の入り口で、ずっと若者の様子をウォッチしていた。「荒れる若者」なる人がいるのかどうかチェックしていた。紅白歌合戦の結果を集計する日本野鳥の会のように、な。風の強い中、苦行プレイだったけどな。私は都内の下町に住んでいる。良く言うと江戸っ子っぽいエリアであり、悪く言うならば、ヤンチャな人も多いエリアだ。繁華街もある。このエリアの成人式、いったいどんな奴らが集まったのか?


 

■実際の成人式で若者ウォッチング

このエリアの新成人は約2000名。会場に来ていたのは、だいたい1000名前後だった。その実態は・・・。

・ガチヤンキー風男性:45名
・マイルドめのヤンキー風男性:79名
・ガチヤンキー風女性:24名
・マイルドめのヤンキー風女性:20名 

全員あわせても、168名だ。全体を1000人としても16.8%。真面目な人がほとんどってことだ。まあ、普通に大学などでもEXILE、E-girls風の男女はいるだろ。ちなみに、髪型をラスボス風にしていた女性は2名だった。白のタキシードの上下、真っ赤な袴、ドレッド、サングラスなどもいて、彼らがまた目立ってはいたが、もちろん、マジョリティではなかった。

よく成人式などで言うなら「親までやってきて、過保護じゃないか」という言説があるが、親らしき人の参加は56名だった。単純計算で5.6%。夫婦で来ていた人もいたので、実際はより少数だろう。

子連れで参加した人が2組いた。真っ赤な着物にSHOW-YAの寺田恵子か、E-girlsの金髪の目立つコ風の女性が子供を抱いて記念撮影していたが、その姿が実に凛としていて、強く、かつしなやか、美しく、見ているだけでジーンときてしまった。

会場の外で、持ち込んだ酒を飲んでいた人は13名、タバコを吸っていた人は18名だ。このエリアは既に20歳になった人を対象に式をやっているので、これまた問題はない。ちゃんと携帯灰皿を持参したり、喫煙スペースに移動して吸っていたのが印象的だった。

写真撮影を手伝ってあげたが、3代目J Soul Brothers風の集団が実に気持よい挨拶をしてくれた。感じいいじゃないか。しかも、そのイカツイ集団と『ドラえもん』ののび太君風の男たちが一緒に写っていた。「中学の同期なんですよ!」と嬉しそうな顔で仲間を紹介していた。周りでも「あー、◯◯ちゃん!ひさしぶり!」なんていう声がいっぱい。ポジティブなエネルギーに満ち溢れていた。

ヤンチャだけど、気持ちいい人が多い下町エリアというのは、特殊かもしれないが、私の周りではこんな感じだった。


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■メディアの描く「荒れる若者」はテンプレート化されている

メディアが描く新成人像がテンプレ化されていて、実際の若者とズレていないか。彼らはずっと真面目だ。ゆとり世代だが、ゆとりはない。さとり世代というが、さとるほど余裕もない。マイルドヤンキーだというが、地元は地元で楽しいし、世の中全体でヤンキー風ファッションが流行っているし、上昇志向がないと言われるけど、少なくとも生存志向がないと生き残れない。

若者を取り巻く環境はどんどん厳しくなっている。さらには若者をスルーしたり、搾取の対象としたり、調教したりという意図が見え隠れする怖い世の中である。成人式で暴れている暇すらないのだ。

彼らは盗んだバイクで走りだすわけでもなく、普通に歩いて仲間と移動していた。私も、都バスを飛ばして帰宅した。都バスだけに。

若者のピュアなエネルギーに感動し、涙さえこみ上げてきた。荒れる若者像を煽るのもいいが、まずは目の前の若者をちゃんと見よう。そんなことを考えた40歳の昼だった。ありがとう。

(文/常見陽平